ん?すごくベッドが窮屈だ。ルーナが抱きつているせいかな。
と思ったけど、あれ??
もう一人後ろから抱きついている!?
背中に小さく柔らかいものが当たっているような、、、
ゆっくりと後ろを向くと猫耳少女が全裸で抱きついているではないか!?
どういう状況だ??いつの間に入ってきた?
いや、そんなことより、この子は誰だ、誰なんだ!?
「ルーナ~、ルーナさ~ん、起きてー。」
「ふにゃ~、なんですかー。」
「後ろに知らない女の子がいるんだけど、、、」
「なに言ってるんですか~、そんなわけないじゃないですか~。」
「後ろ見て!!はやく!!」
「わかりましたよ~。」
ルーナは俺の後ろの女の子をしばらくじ〜っと見ていた。
「ひなりさん!いつの間にこんな小さな女の子連れ込んだんですか?」
「連れ込んでないよ!扉に鍵はしていたし!」
「じゃーこの子は!?」
「知らないよ~。」
と言い合っているうちに猫耳少女は起きた。
「うるさいにゃ~、まだ眠いにゃ~。」
「やっと起きたか!君は誰??どうやってこの部屋に入ったの!?」
「何言ってるにゃ~、ご主人様が入れてくれたにゃ~。」
「ひなりさん!!どういうことですかー!!」
「俺はこんな子入れてないよ~。」
「何言ってるにゃ、昨日ゴブリンの巣から助けてもらったにゃ~、ありがとうにゃ~。」
ようやく理解した。
「えぇーっと、それじゃ昨日助けた黒猫が君ってこと??」
「そうにゃ~。」
「なんだぁ〜、でもなんで人の姿に??獣人なの??」
「そうにゃ~、力がなくなって猫の姿になってたにゃ~。」
「そういうことですか~、びっくりしました、、、」
「とりあえず何か着てください!!ひなりさん!何か服を!」
とりあえず、スキル『創成生造』で小さめの服を複製して、猫耳少女に着させた。
もっと詳しく話を聞かないと。それに一番気になるのがあの首輪だ。
「とりあえず朝食にしようか!」
さて、クランさんにはどう説明したものか、、、
「おはようございます!クランさん、すみません、朝食もう一人分用意してもらっていいですか?」
「おはよう!構わないけど、、おや、その子は誰だい??」
「えぇーっと、昨日拾った黒猫、、、です、、、」
「あぁー、あらま、獣人だったのかい、ここらでは久々に見たよ。」
「そういえば、ルーナ、前にここでは人間と獣人が普通に暮らしてるって言ってたよな?」
「そう聞いてますけど、、、今日まで見てませんね?」
「そりゃそうだよ、数年前に獣人国が戦火になってね、、、みんな祖国へ帰っていったよ。」
「獣人国が戦火、戦争ってことですか、、、」
「そうだったんですね、、、」
獣人国、、、以前ルーナが話してたこのランドベルク王国を囲む国の1つか。
それが戦火になったということは、、、大体想像がつく。
「君の名前はなんて言うの?」
「リアはリアだよ~。」
「リア、獣人は少し目立つから俺のスキルで耳を隠すけどいいかな?」
「うん、ご主人様のことはなんでも聞くよ!!」
「なんでご主人様なのかな??」
「だってリア、奴隷だし、そう言えって教えられた。」
「話したくなったならいいけど、何があったか教えてくれる?」
「うん。ご主人様ならいいよ」
「リアは里でパパとママと暮らしてたんだ。でもある日突然、人間族が攻めてきたの。里のみんな、逃げるのに必死だった。パパもママも、リアを逃がしてくれたの。でも逃げた先で、人間に捕まった。それで首輪をつけられて奴隷になったの。怖かった、とても怖かった。」
「荷馬車で運ばれてた時にゴブリンに襲われて、、、。そのまま連れ去られた。少しの間、ゴブリン達と過ごした。ゴブリン、人間の女犯してた。悲鳴がずっと聞こえてた。怖かった。だから猫の姿になったの。ある日、ご主人様が助けてくれた!」
「リアにとってご主人様は救世主。リアを助けてくれて、ありがとう。」
やはりそうなのか。かなりひどい目にあったな。
昨日拾ってよかった。それに、開放してあげたい。
「やっぱりその首輪は奴隷の首輪だったんだね。外してあげようか?」
「で、できるの??」
「うん、できるよ。」
「それじゃ、お願い、、、リアを自由にして。」
スキル『禁忌録』の中の隷属魔法が使えるか、試してみよう。
隷属魔法『解除』!!
すると首輪が二つに割れ床に落ちた。
「えっ!首輪が、、、取れた、、、これでもう奴隷じゃない、、、もう苦しくない、、、」
リアは泣き出した。今まで何があったのかはわからないが、奴隷にされ苦しかったのだろう。
「ひなりさんがいるからもう大丈夫よ。よしよし。」
ルーナがリアを強く抱きしめた。
しばらくするとリアは落ち着き、俺たちは朝食を食べた。
「よし、ご飯も食べたことだし!ルーナ、今日はダンジョンはお休みだ!リアと一緒に市場へいこう!」
「そうですね!リアの服も買いに行きましょうか!」
「ご主人様、ルーナ、いいの?うれしい!!」
「今日は楽しもうな!」
3人で市場で食べ歩きしたり、服屋に行ってリア用の服を買った。
「ルーナ、リア、ちょっと用事を済ませてくるから先に宿に戻ってて!」
「わかりました!リア、行くよー。」
「はーい!」
二人を見送った後、プメールの外の目立たない場所へ『アトリエ』を出した。
「ルーナにはピアス、リアにはチョーカーがいいかな。よし、作るぞ!!」
夜まで鍛冶場で作業を続け、完成させた。
「やっとできた、宿に戻ろう。」
宿に戻ると、二人が待っていてくれた。
「お待たせ!先に食べていてよかったのにー。」
「そういうわけにはいきません!みんなで一緒に食べましょ!」
「リアもご主人様とルーナと一緒に食べたい!!」
「それじゃみんなで食べようか!」
リアは俺らよりも大食いだった。その小さな体のどこに入るのだろう、、、
「リアもビール飲むー!ご主人様のもーらいっ!!」
「こらー!まだ飲める年じゃないだろー!」
「何言ってのご主人様、リアはもう18だよ!立派な大人だよー!」
衝撃の事実、俺より年上なのか、一つしか違わないが、、、、
「まぁ、、、それなら、、、飲んでもいいぞ、、、ほどほどにな、、、」
なんだ、、、なんなんだ、この敗北感は、一つ年上なだけなのに、、、
それにしてもどんだけ飲むんだ、、、俺より飲んでる、、猫耳恐るべし!!
一通り食べて飲んで部屋へ。
「リア、これからどうするって今更だけど、リアさえよければ俺たちと旅をしないか?」
「うん!ご主人様とルーナと一緒に行く!!リアはご主人様のものだから!」
「そ、そうか、、ご主人様じゃなくて普通に名前で呼んでくれてもいいんだぞ?」
「ご主人様はご主人様だもん!ダメ~?」
そんな上目遣いをされた猫耳美少女に言われて断れるわけがない。
「じゃ、まぁいっか。」
「そのー、二人にプレゼントがある。」
「なんでしゅかぁ~?」
案の定、ルーナも酔っている。リアも少し酔っているみたいだ。
あんだけ飲んだのに少し酔っている程度とは、どんだけ強いんだ。
「ルーナにはこの間の黄の魔核を使ったピアス、人間の姿に自由に変化できるスキルと魔力量増幅の魔法を付与してある。」
「それからリア、リアにはこのチョーカーをもらってほしい。」
「チョーカー?なにそれー?」
「首に付けるアクセサリー、アイテムだよ。ルーナのピアスと同じ、人間の姿に自由に変化できるスキルと身体強化と増幅の魔法を付与してある。」
二人につけてみた。思った通りだ!
「二人とも、とても似合ってる!」
「ありがとうございましゅ〜ひなりさ〜ん!だーいしゅき~♡」
「リアの方がだいしゅきです!なんかこのチョーカーってやつ、奴隷の首輪よりいい~身も心もご主人様のものみたい!ごしゅじんしゃまぁ~リアを満たしてぇ♡」
「リア!?かわいすぎるよ。それじゃぁ、遠慮なくいただきまーす!」
「ひなりさ~ん、私もぉ~仲間に入れてくだしゃいよぉ~!」
「わかってるよ。ほらこっちにおいで。」
猫耳と尻尾がピクピク動くかわいいリアをたくさんモフった。
リアの小柄で小さな山と、ルーナの大きく豊かな山に包まれて、お腹いっぱいな夜だった。