町の近くまで着いた。
都市とは違い、関所自体なく、誰でも出入りできるみたいだ。
宿屋と酒場と鍛冶工房が奥までずらぁーーーーっと並んだ、なかなか珍しい町並みだ。
そこら中から鉄をたたく音がカキンコキン聞こえる。
宿場町というより工場だな。
「噂には聞いていましたけどほんとにみんな小さいんですね。リアくらいの背丈しかありませんね。」
「まるでリアがチビって言ってるように聞こえるにゃ??」
「はいそこー。バチバチしなーい。」
確かにみんな小さい。高くても160cmあるかないかだ。
「さて、ここからは宿屋と鍛冶場探しだ。手分けして探そうか。」
「ルーナ、リア、セリーヌの3人、俺とカメ吉の二手に別れよう。」
どう探したものか。スキルでパパッと探せたりできないか。
そう言えばあのスキルを試してなかったな。
ースキル『福来幸』!
目にバフがかかるようだ。幸運値が見えるということか。
名前からして幸運を上げるスキルだと思うが、他人に対して違った使い方ができるようだ。
強運=鍛冶が優れているとは限らないと思うが、これで探してみよう。
試しにカメ吉を見てみようか。
「おぉ!カメ吉!お前かなり強運の持ち主だな。」
「そうなのでせぇ?まぁ確かに、冒険者に狩られる寸前に逃げれたりはしたっすねぇ。」
「うん、その状況で逃げられるのはすごいな。」
「よし、これで探してみよう。」
俺たちは歩きながら幸運値を見て回った。
そして辿り着いた。
ーアーロの鍛冶場
ここにすごい強運の持ち主がいるな。
「あの、すみません。」
ん?いないのかな。もう一度。
「あのー!すみませーん!!」
「あいよー!ちょっと待ってね!!」
奥から褐色肌の男の子が出てきた。
「いらっしゃい!何かご入用で?」
「あのー、ここは君一人できりもりしてるの?」
「あーうん!そうだよ!僕一人だ!」
「それじゃ、単刀直入に言うけど、鍛冶を習いたいんだけど、、、」
「えっ!僕に!!僕より優れた鍛冶職人は他にいるよ。他を当たった方がいいんじゃ。」
「いや、君がいいんだ。だめかな?」
「まぁ僕は構わないけど、ほんとにいいの?」
「うん!よし決まりだね!」
「あと、宿を探してるんだけど、どこかいい宿知らないかな?」
「あぁ外から来た人か!それなら2階を使うといいよ!部屋余ってるから!」
「それは助かる!ありがとう!」
「よし、3人と連絡をっと。あの魔法使ってみるか。」
「アサルトクロウ!セリーヌの元へ!」
「これで3人ともここへたどり着けるだろ。」
「そういえば君の名前は?」
「僕はアーロ!この鍛冶場をきりもりしてる!よろしく!」
「俺は灯生!それから肩のガルゲゾはカメ吉だ!」
「わー!やっぱり、ガルゲゾだよね!こんな小さなガルゲゾ、初めて見た!」
「いや、これは僕のスキルで小さくしてるんだよ、さすがに普通サイズだと町に入れないからね!」
「ガルゲゾを小さく!?そんなこと聞いたことがない、、、お兄さん、何者??」
「まぁ旅人だよ。他にも3人ほど厄介になるからまた紹介するよ!」
「うん、わかった!教えるのは明日からの方がいいかな?」
「いや、今から、お願いしても?」
「今から!?兄ちゃん気合入ってるね!」
「まぁ鍛冶を習うために来たからね!頼めるかな?」
「いいよ!それじゃ奥に来て!」
「わかった!カメ吉、3人が着たら知らせてくれるかい?」
「お安い御用で!!」
アーロから兄ちゃんと呼ばれるのはかなりいいものだ。嬉しくなる。
俺はカウンターにカメ吉を置き、アーロと一緒に奥の鍛冶場で習い始めた。
数時間後。3人が着いたとカメ吉が知らせてくれた。
「お、来たな!アーロ!紹介する、俺の仲間だ。」
「左からセリーヌ、リア、ルーナだ。こっちはアーロ、鍛冶職人だ。」
「みんな女の人だ、兄ちゃんモテモテなんだな!」
「いや、そういうわけじゃ、、、」
「まぁそんなことより、2階の部屋を貸してもらえることになったから!ここで当分の間暮らすよ!」
「アーロ!よろしくね!」「よろしくにゃ!」「よろしくお願いします!!」
「今日はもう夕方だし、アーロ、鍛冶はここらへんにして、どこか食べに行かないか?」
「うん!いいよー!だったら行きつけの酒場があるから案内するよ!酒がめちゃくちゃうまいんだ!!」
「それはそれは!私お酒大好きなんです!すぐ行きましょー!」
「ルーナはすぐ酔っぱらうにゃ!ほどほどにするにゃ~」
「そんなリアこそアホみたいな大食漢じゃないですか!!」
「はいそこー。またバチバチしなーい。」
「アーロ、案内してもらえるかな?」
「はーい!ついてきてー!」
アーロおすすめの酒場に行き、飲んで食って、ルーナとリアも満足したようだ。
ここの酒はうまい。ビールもワインも。俺も久々に勢い知らずに飲んでしまった。
いい酒にいい感じに酔っていたのも束の間、セリーヌに手伝ってもらってルーナとリアを運ぶことに。
アーロにはいつものことだと伝え一緒に帰った。
いい酒の余韻に浸ってぐっすり寝れた。
と思ったが、下の方でセリーヌがゴソゴソしているのに気づいて火が着いてしまった。
途中から2人も参戦してきたが、いつも通り返り討ちにしてやった。