「おはよう。アーロ。」
「兄ちゃん、おはよう!」
「今日はちょっと作りたいものがあるんだけど手伝ってもらえるかな。」
「いいよー。何を作るの?」
「みんなのアイテムと武器だよ。」
「その前にアーロに聞きたいことがある。アーロはなんでここに一人で暮らしているんだい?」
「それは、、、僕は師匠から鍛冶を教わったんだ。師匠からは親は死んだと聞かされていた。戦争で死んだって。それしかわからない。師匠は一から鍛冶やモンスターとの戦い方を教えてくれた。僕にこの地で生きる術を教えてくれたんだ。師匠の作る武器や装備は一級品だった。でも、僕は、それには叶わない。師匠みたいには作れなかった。」
「その師匠は?今どこに?」
「去年死んだ。この鍛冶屋は師匠から受け継いだもの。師匠には僕には可能性があるって、すごいものを作れるって言われたけど、、、そんなすごいものはまだ作れてない。」
「毎日毎日武器を作り続けているけど、まともなものはまだ作れていないんだ。」
「だから、なんで兄ちゃんが僕のところで教わりたかったのか今もよくわからない。」
「えーっと、自覚はないだろうけど、君の腕は確かだよ。師匠がどんな人だったのかはわからないけど、ここには俺が信頼できる、身を預けられる武器が並んでいる。」
「この武器たちを作れる君なら、俺の力になってくれる、そう思ったからだよ。」
「そんなに僕の武器ってすごいの?」
「正直に言っていいの?」
「うん!お願い!」
「ここに並んでいるもの、ほとんどがレアかそれ以上の武器だ。」
「それに武器が人を選んでいるように見える。そんな武器は普通作れない。」
「まぁちょっとずつでいい。自信をもっていいんだよ。俺が保証する!」
「兄ちゃん、、、」
「アーロが良かったらでいいんだけど、俺たちと旅をしないか?」
「俺もまだアーロに教えてほしいことはあるし、鍛冶専門のアーロがいてくれると助かるんだけど、、、」
「僕なんかでいいの?」
「アーロだからいいんだよ。みんなといれば寂しくないと思うし、どうかな。」
「でも、師匠から受け継いだこの店があるから、よく考えてほしい。」
「兄ちゃん、、、僕も、僕も連れてってほしい!!」
「兄ちゃんの力になりたいし、旅ならいろんなところ見れて経験もできる。一緒に旅に出るよ!」
「いいのか?この店のこととか、、、」
「しばらく閉店にしておくよ。それに元々は師匠の店だもん。また戻ってこれるさ。」
「わかった!それじゃ今夜は酒場で祝うか!アーロの仲間入りに!!」
「うん!その前に、武器とか作るんでしょ!早くやろーよ!」
「そうだったな!そうだ!アーロの分の武器も一緒に作ろう!」
「えっ、そんな、、、僕はいいよ、、、」
「俺が作りたいんだよ!いいだろー!」
「まぁ兄ちゃんが言うなら、、、うん、、、」
「よし!作るか!」
ーしばらくして。
「できた!これはアーロの分だよ。」
「これは?」
「ドミルコの鉱山で出くわしたミスリルゴーレムの素材で作った短剣、名付けて『カルンウェナン』!」
「おー!なんかかっこいい!!」
「ミスリルだからかなり硬く鋭い。殺傷力もかなりあると思うよ。あと、それから、このゴーグル。アーロに似合うと思って。」
「うわぁ、こういうの欲しかったんだよ!」
「鉱石や魔鉱石の名前や魔力も見えるようスキルを付与してある。魔剣も作れるようになると思うぞ!」
「魔剣!!僕、作ってみたい!!」
「いろいろ試してみてくれ!改良もできると思うから!」
「うん!ありがとー!!」
それから俺とアーロは仲間分の装備を作り始めて、外はもう夕方になっていた。
「やっと出来上がった!アーロ、手伝いありがとな!」
「兄ちゃんがすごいからだよ、みんなを呼んでくるね!」
みんな揃ったところで新調した装備を渡した。
「みんな揃ったな!装備を新しくしたから渡そうと思う!」
「まずはルーナ、ゴブリンメイジの杖の改良版を柘榴石を使ってさらに改良を重ねた。魔力の吸収力アップと魔力量が増幅するスキルを付与してある、名付けて『魔杖ランディル』!」
「それからリア、今の双剣をアメジストと銀でさらに改良した。以前よりも硬さと鋭さが上がって軽くなったと思うよ。名付けて『双剣バーギア』!」
「カメ吉とセリーヌには2度目の血を一滴ずつ。カメ吉には大きさを自在に変化させるスキルを、セリーヌには人間の姿に自由に変化できるスキルを付与してある。」
みんな気に入ってくれたみたいだ。何時間もかけて作った甲斐がある。
「あと、新しい仲間、アーロだ!」
「み、みなさん!こんな僕ですが、よろしくお願いします!!」
「アーロ!仲間になるかにゃ~!よろしくにゃ~!!」
「私のことお姉さんだと思ってくれていいのよー!」
「ルーナ!何言ってるにゃ、リアより年下じゃないかにゃ~!」
「私の方がお姉さんに見えますー!!」
「はいそこー。張り合わないのー。」
「あ、アーロ、言い忘れていた!みんな人間に見えるけど違うんだ。みんな、変化のスキル解いてー。」
3人とも、元の姿に戻った。
「あれ!?人間じゃなかったんですね!?」
「一応隠してるんだよ。ルーナはハーフエルフ、リアは獣人、セリーヌはラミア、カメ吉は~カメ吉だ!」
「ふぇ〜!びっくりです、、、」
「私はラミアでモンスターですけど、灯生さんにテイムしてもらってますから、安全ですよ!」
「ゲララララララァー!!」
「よろしくでせぇ!だってさ!」
「アーロの仲間入りのお祝いをしよー!みんな!酒場に行くぞー!」
その夜は今まで史上、食べて飲んで盛り上がった。
まぁ案の定、ルーナとリアは潰れていたのでセリーヌとアーロとで運んで帰宅した。
二人をベッドに運び、セリーヌも寝たところで、アーロから部屋に来るよう呼ばれた。
「アーロ、どうしたんだい?」
「僕、もう我慢できないの。」
急にアーロに押し倒され、濃厚なキスをされた。
「アーロ!君は男だろ!こんなこと、、、」
「ぼ、僕、、、ほんとは女なんだよ!ほら、触って。」
あれ、男にあるものがない。胸も少し膨らんでいる。
今までなぜ気づかなかったんだ。
「女の子だったのか。」
「その、、、夜に3人の声が聞こえてて、ずっと我慢してて、、、」
「そうだったのか、それは悪かった。その、俺でいいのか?」
「兄ちゃんがいいの!ねぇ、お願い、早く、楽しいこと、しよ♡」
アーロは意外と積極的で、明りに照らされた褐色の肌を貪り、お互いの気持ちを確かめ合った。