目次
ブックマーク
応援する
1
コメント
シェア
通報

3章 魔法と剣

1 選択


ドミルコからプメールにワープし、外交都市 マトシリカに向かうことにした。


「ここからは荷車で移動だ。カメ吉、頼めるか?」


「任せてくだせぇ親分!!」


ここからは荷車の旅だ。マトシリカまでどのくらいかかるのだろう。

考えても仕方がないし、久々の旅を楽しもう。



しばらく走り、右側に城壁が見えた。


「あれは王都の城壁か?」


「そうだと思いますよ。今は入らない方がよいかと思います。ドミルコで買い物をしている時に聞いたんですが、王都の中は今、戦争の準備をしているみたいです。」


「そうか。獣人国のこともあるし、少し気になるな。今は素通りで行こう。」


獣人国との戦争。リアみたいに奴隷にされた獣人もいるかもしれないな。

そしてまた戦争。今度はどこと戦争を始める気なのか。


人間はどこへ行っても争うことが好きな種族だな。反吐が出る。

王都にも行く機会があるだろう。注意して行く必要があるな。




数日過ぎた頃、いつものように荷車を走らせていると、目の前に盗賊に襲われている人がいた。


「盗賊に襲われているようです!!助けましょう、ひなりさん!!」


「いや、みんなはここにいて。俺が様子を見に行く。」


「一人で大丈夫ですか?」


「大丈夫だよ。すぐ戻ってくるから。」



この世界に来て、モンスターや動物を狩ることはできた。

でも人間はまだ殺したことがない。俺は人間を殺すことができるのか。



ー前世で自分自身を殺しただろう。



そうだ。そうだった。俺はもうこの手で自分を殺している。

今更人間を殺せるかだなんて、無意味な感情だった。


それに盗賊も、人を襲い儲けている。その盗賊も襲われる覚悟くらいはあるだろう。


「どうも、みなさん、こんにちは。どうやら楽しいことをしているようで。」


「はぁ?なんだてめぇ。この状況が分からないのか?」


「えぇーと、あなたは見たところ商人の方でしょうか?」


「は、はい!そうです!どうかお助けください!!お願いします!!」


「わかった。それじゃ彼らを殺してしまっていいんですね?」


「は、はい、そいつらは賞金首のラビ盗賊団です!!倒せば報奨金もでるはずです!!」


「分かりました。」


ラビ盗賊団、5人か。それなりに悪さをしているやからだろう。

殺して首をギルドに持っていけば確かに金にはなる。

なるが、それではこいつらの罪はどうなる。

ただ殺して終わり?それでいいのか。


そういえば・・・『禁忌録』に隷属魔法があったな。

奴隷に落としてこの世界のために働いてもらうのはどうだろう。

殺すよりも残虐なやり方だ。だが、罪を償うにはいいだろう。

それに、この魔法を試すには絶好の機会だ。



俺は一旦荷車に戻った。

「みんな、盗賊団らしいから捕えてプメールのギルドまでワープしてくるよ。」


「私もついていきます!!」


「大丈夫!一人で大丈夫だから。」



さて、試すとするか。


「最後に言い残すことは何かありますか?」


「はー??何言ってんだこいつ?やっちまいましょうぜ兄貴!!」


「おうよ!ガキにはちゃーんと躾けてやらねーとな!お前ら!やれー!」


5人一斉にかかってきた。


「隷属魔法、身分を『隷属』に。」


そう俺が唱えた瞬間、5人は苦しみだした。

そして、彼らの首、手首、足首に、首輪に手枷足枷がついているように見える。

これはタトゥーか?

いや、よく見たら細かい文字が書かれていた。

その文字の集合体が首輪のように見えていたのだ。


何の文字か分からない。

日本語でもないし、この世界の言葉でもない、知らない言葉だ。

なんにせよ、上手くいった。


ー5人を身分『隷属』に設定しました。命令を設定してください。


なんだ!?頭の中で文字が!?

命令の設定?どんな命令にするか・・・ということか。

それじゃぁ。


「命令する。お前たち5人は、この世のために人のために奉仕し、一切の危害を許可しない。」


ー命令を設定しました。


これでいいみたいだ。


よし、プメールまで移動しよう。


ワープ!



俺は5人を引き連れて、プメールの路地裏にワープした。


この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?