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3 マトシリカとトローム商会


ケイプさんを拾って数日が過ぎた頃、俺たちはようやく、マトシリカに到着した。

マトシリカは、左右に二つの塔が建っており、行商人の行き来が激しい。


「ケイプさん、ここはどういう都市なんですか?」


「外交都市 マトシリカは、商人のための都市とも言われています。」

「行商人も多く、他の都市にはない商人ギルドもありますし、魔道具関連の店もあることから、ここから程遠くないところにある魔法公国 サリヴァンの学生も多い都市です。」


「なるほどです。外交とはどことの外交なのでしょうか?」


「サリヴァンと魔人国です。魔法とは危険なもの、王国はそのように考え恐れているのです。」

「なので、条約を結び、敵に回さぬようにしております。それがないといつ魔法戦争になるか分かりませんからね。」


「魔法戦争、魔人国。初めて聞きました。ありがとうございます。」


魔人国!?そんな国もあるのか?どんな国か見てみたい。そのうち行くとしよう。


「そういえば、どちらに向かえばよろしいでしょうか?」


「あぁ、すみません!!西にお願いします!西区にわが商会がございますので。」


「わかりました!」



ケイプさんを送るべく、西区の方へ向かった。

向かったのだが・・・。


「こ、これは・・・。」


「ここがわが商会、トローム商会でございます!お礼いたしますのでぜひ寄って行ってください!!」


「これはどこからどこまでが店にゃー?」


「思っていたより敷地が広いですね・・・。」


「いや、広いってもんじゃないよ!都市の四分の一を占めてるじゃんか!」


想像していたより大きく、というよりも商会じゃなくてもうこれは屋敷だ。

助けてよかったと内心ホッとした。



流れで招かれてしまい、中もそれは豪華で唖然としてしまった。


「どうぞ、こちらです!すぐにお茶を入れますので!」


「こ、これはケーキですね!!おいしそ~!」


「どうぞ、お召し上がりください!」


「よだれが止まらにゃいにゃ~。」


「こらこら二人とも!」


「堅苦しいのは結構ですよ!どうぞ遠慮なく!!」


「私も甘いものには目がないです〜!いただきまーす!」


「僕も!!」


まぁしょうがない。それにケーキも紅茶も、長旅の後には体に染みるぅ〜。


「それで、灯生様はなぜこの都市に来られたのです?」


「マトシリカはついでなんですよ。本当はサリヴァンに行くところでして。」


「ほほー!それでは魔法学校に行かれるので?」


「まぁ、そのつもりですね・・・。」


察しがいい。やはり商人か、あなどれないな。


「こちらの商会はどのようなものを扱っているのですか?」


「このようなケーキや様々なところから取り寄せた茶葉などの食品類はもちろん。武器や装備といったものまでございます。それから、モンスターの素材や鉱石もございますよ。」


「幅が広いんですね!」


「まぁこれでも王国一の商会ですからね!」


「買取はしていないんでしょうか。」


「と言うと?」


「例えば、作った武器やアイテム、魔道具といったものやレシピだったり。」


「ほほー!レシピを売る!?それは興味深いですね〜。武器などはそちらのアーロ君が作るので?」


「そうですね。一応俺も作れますが。」


「なるほど!これも何かの縁です。その時はぜひうちで買い取らせていただきたい!」


「もちろんです!今後ともよろしくお願いします!」



ケイプさんのところでしばらく休み、商会を後にした。


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