ケイプさんを拾って数日が過ぎた頃、俺たちはようやく、マトシリカに到着した。
マトシリカは、左右に二つの塔が建っており、行商人の行き来が激しい。
「ケイプさん、ここはどういう都市なんですか?」
「外交都市 マトシリカは、商人のための都市とも言われています。」
「行商人も多く、他の都市にはない商人ギルドもありますし、魔道具関連の店もあることから、ここから程遠くないところにある魔法公国 サリヴァンの学生も多い都市です。」
「なるほどです。外交とはどことの外交なのでしょうか?」
「サリヴァンと魔人国です。魔法とは危険なもの、王国はそのように考え恐れているのです。」
「なので、条約を結び、敵に回さぬようにしております。それがないといつ魔法戦争になるか分かりませんからね。」
「魔法戦争、魔人国。初めて聞きました。ありがとうございます。」
魔人国!?そんな国もあるのか?どんな国か見てみたい。そのうち行くとしよう。
「そういえば、どちらに向かえばよろしいでしょうか?」
「あぁ、すみません!!西にお願いします!西区にわが商会がございますので。」
「わかりました!」
ケイプさんを送るべく、西区の方へ向かった。
向かったのだが・・・。
「こ、これは・・・。」
「ここがわが商会、トローム商会でございます!お礼いたしますのでぜひ寄って行ってください!!」
「これはどこからどこまでが店にゃー?」
「思っていたより敷地が広いですね・・・。」
「いや、広いってもんじゃないよ!都市の四分の一を占めてるじゃんか!」
想像していたより大きく、というよりも商会じゃなくてもうこれは屋敷だ。
助けてよかったと内心ホッとした。
流れで招かれてしまい、中もそれは豪華で唖然としてしまった。
「どうぞ、こちらです!すぐにお茶を入れますので!」
「こ、これはケーキですね!!おいしそ~!」
「どうぞ、お召し上がりください!」
「よだれが止まらにゃいにゃ~。」
「こらこら二人とも!」
「堅苦しいのは結構ですよ!どうぞ遠慮なく!!」
「私も甘いものには目がないです〜!いただきまーす!」
「僕も!!」
まぁしょうがない。それにケーキも紅茶も、長旅の後には体に染みるぅ〜。
「それで、灯生様はなぜこの都市に来られたのです?」
「マトシリカはついでなんですよ。本当はサリヴァンに行くところでして。」
「ほほー!それでは魔法学校に行かれるので?」
「まぁ、そのつもりですね・・・。」
察しがいい。やはり商人か、
「こちらの商会はどのようなものを扱っているのですか?」
「このようなケーキや様々なところから取り寄せた茶葉などの食品類はもちろん。武器や装備といったものまでございます。それから、モンスターの素材や鉱石もございますよ。」
「幅が広いんですね!」
「まぁこれでも王国一の商会ですからね!」
「買取はしていないんでしょうか。」
「と言うと?」
「例えば、作った武器やアイテム、魔道具といったものやレシピだったり。」
「ほほー!レシピを売る!?それは興味深いですね〜。武器などはそちらのアーロ君が作るので?」
「そうですね。一応俺も作れますが。」
「なるほど!これも何かの縁です。その時はぜひうちで買い取らせていただきたい!」
「もちろんです!今後ともよろしくお願いします!」
ケイプさんのところでしばらく休み、商会を後にした。