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24.5 閑話:束の間の再会


昨日は歩き回って夕食を食べた後にすぐ寝てしまった。


「あれ、これは夢か、見たことあるような空間・・・。」


「久方ぶりじゃのう篭本灯生よ。」


そこには一度見たら忘れ慣れないほどの人がいた。桜宮 蔵之介だ。この世界に俺を転生させた張本人だ。でも、なぜ、俺はまだ死んでいないはず・・・。


「お、お久しぶりです・・・蔵之介さん・・・えぇーっとこれはどういう??」


「すまんすまん、突然呼び出してしまって。お主に言い忘れておったことがあってな。」


「はぁ・・・なんでしょうか・・・?」


「まぁまぁそんなせかさんでもいいわい!どうじゃ、新しい世界の具合は?」


「とても満喫?しています。前世ではあんな経験はまず出来なかったですから楽しんでいますよ。」


「そうかのそうかの!!それはなによりじゃ!!なぜかお主には女子(おなご)が集まることよの!!はぁーっはっはっ!!」


「ど、どこまで見てるんですか!?俺にもよくわからないんですが集まってくるものは・・・その・・・しょうがないじゃないですか・・・。」


俺は何をタジタジしているのか、じいさんの前で・・・まったく・・・どこまで見てるのかこのじいさんは。


「まぁそうじゃの!どうじゃ、前の世界と違って面白いところじゃろうて!」


「はい!それはもう!いろんな人種が多いし、何より魔法を使えるのが楽しいですよ!」


「それはよかった!して、お主、そろそろ本来の力は気づいたかの?」


「本来の力??」


「あー、まだかのう。じゃーよいわい。お主の仲間は何か感づいておるようじゃが。」


「はぁ・・・なんの話しです?俺の仲間が気づいているって??」


「お主自身が気づかんといかんことじゃ。と言っても我慢ならんくてあ奴等から顔を出すかもしれんがの。まぁおいおい時が来たら分かるわい。」


「はぁ?」


前もそうだったが変なことを言うじいさんだな・・・。


「おーっとそうじゃ、これを言うために呼び出したんじゃ!よいか、よく聞くのじゃぞ。これはわしら管理者からの願いなのじゃ。」


「はいー。分かりました・・・。」


「お主の住んどる世界のどこかに、透明色の魂の右腕が存在している。それは無数のお札と響羅けらの鎖と呪文を焚きつけている。それを探してお主がここへ帰ってくる時に持ってきてほしいんじゃ。大切なものなんじゃ、頼めるかの。」


「まぁそれくらいならいいですよ。」


「ほんとかの!?よかったよかった!!それが聞けて安心したわい。ほんとは最初に会った時に言うつもりだったんじゃが忘れておったわ。」


「そんな大事なこと忘れてたんですか・・・。」


「歳じゃから多めに見てくれぇ、お主を送った後もモルゲンから叱られたのじゃ。」


「そりゃ、そんな大切なものだったら怒るでしょう。その魂の右手っていうのはなんなんですか??」


「あぁ、それは言えん決まりでの・・・超のつく極秘事項じゃ。ただ・・・。」


「ただ?」


「見つけて持ってくるまで絶対に封印を解いてはならんぞ。一瞬にして魂諸共チリと化すからの。」


「そんな危険なもの持ち運べるものなんですか??」


「十分に封印してあるから大丈夫じゃ。持ってこなかったらもう一度転生させるからの。」


「えぇ脅しですかー。まぁ分かりました!探してみます!絶対あるんですよね?」


「うむ。絶対にある、お主の世界に。」


「どこにあるかは?」


「わからん!」


「だと思いました・・・。まぁ探してみますね。」


「頼んだぞ。それじゃ、またのぉ~!」


と言って消えていった後、俺は夢から覚めた。

いやあれは夢ではないか。あの人らしい、久々に会えてよかった。

夜中に起きたのか、鳥の声がさえずっているのが聞こえた。そしてそのまま、また眠った。


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