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26 校長室③


校長に呼ばれているとネルビアに言われていたので、朝食を済ませた後、4人で校長室へとテレポートした。


「おはようございます、サルビア校長!」


「うわぁ!びっくりした、あぁ君たちか、おはよう。」


そろそろ慣れてほしい。ドアから入った方がいいのかな。まぁいっか。


「それで、何か話があるって聞いたんですが?」


「あぁそうそう。まぁ座って、お茶を出すから。」


いつも通り、そこだけ散らかっていないソファーへ。


「はい、どうぞー。」


「ありがとうございます。」


「単刀直入に言うね。魔人族側には保守派と革新派というのがあってね。革新派っていうのは簡単に言うと僕たち保守派の反対で、魔王を召喚させて戦争を起こしたいっていう集団のことなんだよ。」


「はぁ。その革新派が何か動きがあったわけですか?」


「その通りなんだよねー。近々その動きが活発化しているんだよ。魔王が召喚されてしまうと王国側でも勇者が同時に召喚されてしまう。という言い伝えなんだけどね。」


「言い伝えなんですか??」


「うん、まぁ何せ数百年前くらいに魔王と勇者が同時に召喚されて戦争が起こった、というそれしか文献が残っていないものでね。僕たちもそれくらいしか分かっていないんだよ。」


「因みに魔王が召喚されたら魔人族や魔族はどうなりますか?」


「これは僕の憶測だけど、魔族は凶暴化して魔王に従うだろうね、十中八九、人間族に戦争を吹っ掛けると思う。魔人族もそんな感じになりそうかもしれない。こればっかりは魔人の血や魔力によるものだからどういうことになるかまで自分自身でも分からない。」


「それはなかなか困った状況になりそうですね。そうなると人間族側でも対抗して兵士を送り込んでくるでしょう。あ、忘れてた、アルファス。君、魔王の四天王の一人だって言ってなかったけ?」


「あ、そうでしたな。私もすっかり忘れておりました!!ははははー!」


「俺も忘れていたよ!はははははー!!」


「お2人とも、笑っている場合じゃやないですよー。アルファス、その時はどんな状況だったか分かるの?」


「うむ。魔人という種族は当時いなかったので分からないが、魔族は魔王に絶対服従だからな。人間を1匹も逃がさないという風に殺しまわるだろうな。魔王の気迫、いや、やはり魔族の血に影響されているのかもしれんな。」


「まぁそうなるよね。サルビア校長、どうしますか?その革新派というのは止められないんでしょうか?」


「僕たちも関わりがないからひっそりやっているんだと思うけど彼らは凶暴だからね。特に魔人狩りを人間が行いだしてからは特に。」


「それは反発するのもよくわかるし魔人狩り自体は人間側が絶対悪い。でも今回は魔王を召喚させると勇者も必然的に召喚されるということだ。勇者の力次第では人間側の力が増すことも考えられるなぁ。サルビア校長、人間族の国はランドベルクだけですか?」


「いや、ずっと北東の端にダンタリア帝国という国があるというのは聞いている。詳しくは知らない、あこは北国だからね。灯生君知らなかったの??」


「俺は東方の生まれなので。そうとなるとそのダンタリア帝国と共闘して王国が襲ってくる可能性も考えなくてはなりませんね。少し調査が必要ですね。王都の様子を見てきましょうか?ついでにダンタリア帝国の様子も。」


「そんな危険なこと!?いいのかい?頼んでしまって。」


「俺はみんなで平穏に暮らしたいだけなので。それを邪魔するものは魔王であろうと勇者であろうと、神であろうと、引きずりおろして殺すだけですよ。」


なぜ、こんなにも沈黙する?


「そ、そういえば、王都には神 イヴアダを崇拝しているイヴアダ教会というものがあるそうです。もしかしたらあちらも勇者召喚の準備をしているかもしれません。くれぐれも気を付けてください。」


「神 イヴアダか。ほんとにいるんですかね、神なんて。まぁ気に留めておきます。それじゃぁ、明日王都に向けてここを立つことにしますね。お世話になりました。」


「うん!助かるよ・・・僕はここの防衛線を守ることしかできないから。頼んだよ、灯生君!」


「それも立派なことですよ、サルビア校長。次帰ってくるまでにここの校長室片づけてもらえると!」


「う、うん・・・善処するよ・・・。」


ー6組の教室。


「先生!遅いよー!」


「ごめんごめん!今から大事な話をするからようく聞くように。」


それから生徒たちに召喚のことや戦争のことなど校長と話したことを生徒たちに話した。


「ということで授業はいったん中止になりますが修練は怠らないこと!それから、スベトラーナとララ、君たちは一時帰国した方がいい。召喚されてしまえば一番狙われるのは人間だからね。」


「分かりましたわ。ララも一緒に・・・。すぐに支度いたしましょう。」


「はい、お嬢様。」


あれから少しスベトラーナのララへの態度が変わったように感じたが、さてどうなるか。


「みんな、くれぐれも戦うなんて思わないこと。だが自分や大切な家族たちに危険が及ぶようであれば、今まで鍛えてきたことを存分に活かしてほしい。そのためのものだ。俺たちは明日ここを立つ。また様子を見に帰ってくるから次までに強くなっていること!わかったかい?」


「はい!!」


うん、みんないい返事だ。

俺たちは一旦ミンチェスター邸に帰宅した。


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