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1 2つの柱


ーマトシリカを立って数時間。


「そろそろ日も暮れるしこの辺りで泊まろうか。」


「この辺りですか?野宿でしょうか・・・。」


「あーいや、まぁ慣れてくれー。」


『アトリエ』を取り出した。前回の旅以来か、久々に見る『アトリエ』だなぁ。相変わらず普通に家だな。


「こ、これは!?灯生様!これはなんですか!?家が!?突然!?」


「うん、まぁ、慣れてくれ~。さぁさ、入って~!」


子どものように興味津々にいろんなところを見て回るのはみんな同じか。微笑ましい。まぁどれもこの世界にはないものばかりだからな。


「灯生様!この四角くくて中が冷たいものはなんですか!?」


「あぁ、それは冷蔵庫と言って、食料をそこにいれておくと腐らないんだよ。野菜なら1週間くらいなら持つよ。下の箱は冷凍庫。氷なんか、溶けるものを入れておくとずっと溶けないままだよ。」


「こんな便利なものがあるなんて!?これはどこで買ったのですか!?」


「あー、これはもらいものだからねー、わかんないや!」


前世の物とは言えない。しかも電気で動いているかさえもわからない。


「そうですか・・・。でもこれはすごいです!キッチンも整っていて!」


「他にも地下は鍛冶場と書庫、2階には寝室、庭もついていて、結界が張られているから安心してガーデニングもできるよ。」


「これをいつも持ち運んでいるんですか!?」


「うん、まぁ、魔道具の一種かな?たぶん・・・。」


俺にもこの『アトリエ』の仕組みがよくわからん。

目をキラキラさせながらロータスはいろんなところを見て回った。

夕食はロータスの手料理を美味しくいただいた。

2階には寝室がいくつかあるが、なぜかみんな俺の部屋に集まってくる。狭い。

ダブルベッドなのだが改良が必要だな・・・クイーン?キングサイズか?暇なときにでも作ろう。


夜は、まぁ、言うまでもない。ロータスの食事から始まって、寝室は大宴会会場と化した。

5人に増えたのか・・・骨が折れる・・・まぁこれはこれでいいか。

楽しみが増えることはいいことだ!と思うことにしよう。



ー翌朝。


再び王都に向けて荷車を走らせた。

王都に向かって荷車を走らせている途中、大きな地響きと共に王都の方向とサリヴァンの方向から光の柱が立ち降りた。勇者と魔王が召喚された合図だった。そして明らかに魔力の濃度が高くなったのを感じた。


「みんな大丈夫か??」


なんとか大丈夫みたいだ。


「灯生様。どうやら。」


「うん、そのようだね。召喚されたみたいだ。」


「精霊たちがかなり騒いでいます!!」


「みんなより一層注意するように。」


暫くしてネルビアさんに連絡を取るようにした。


◈ネルビアさん、灯生です。大丈夫でしょうか。


◈あぁ、灯生様。魔王が召喚されたようです。街では魔力酔いを起こしている魔人もいて混乱しております。


◈そうでしたか。俺たちももう少しで王都に着きますので!


◈わかりました。どうか、ご無事で。


俺は王都に向けて荷車を再び走らせた。



ー王都。


王都の南門が見えてきた。

王都だけあって門の警備が厳重だ。城壁の上まで兵士がいる。少し離れたところから歩いて向かった。

門のところにはネルビアさんによく似た人物が。あれがハルビアさんか。


「お待ちしておりました。灯生様ご一行。私は末のミンチェスター家3男のハルビア・ミンチェスターと申します。こちら王都での案内をさせていただきます。よろしくお願いします。」


さ、3男かぁ。思っていたより背が低いのだな。しっかりしていそう。少しかわいいと思ったことは黙っておこう。


「灯生です!お出迎えありがとうございます!よろしくお願いします!」

「それよりさっきの光の柱はあれですか?」


「はい、そのようです。まずは安全に話せる宿の方へご案内いたします。」


王都は地方都市と比べて発展している。道、建物、ほとんど石造りでしっかりしている。

それから中央にそびえ立つランドベルク城、それを囲うように街が作られている、円形上の都市だ。

それに、何より際立って見える建物、サルビア校長が言っていた神 イヴアダを祭るイヴアダ教会、ランドベルク城の次に大きい建物だ。それほど権力を握っているのだろう。街中には教会の服を着た人もいる。目を惹かれないように一層注意しなければ。案内途中でもう一つ大きな建物が。


「あの建物はなんですか?」


「あれは王宮直属の商会、ドルゴア商会です。商会ギルドもそこにございます。あそこは注意してください。裏では闇営業をしているので。」


「闇営業か・・・。」


奴隷売買や薬売買とかだろう、大体予想がつく。


「それでどこに向かっているのでしょうか。」


「王都のハンターギルドも王宮の目がありますので、安心できる宿に向かっております。そこでならいろいろ話せるでしょうし。」


「わかりました。」


と言われて宿らしき家に案内された。


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