「あ!やっと来た。ハルビアさーん!ここでーす!助けてくださーい!」
「助けてくださいって。灯生様はそんな状況には見えませんが・・・。」
「いやぁこの地面に埋もれているチンピラたちが絡んできて~!怖かったです~!」
「いや、そんな風には全く見えないのですけれど・・・。ルーナさん達がまた来たと思えば・・・こんなことになっているとは・・・。とりあえずこの闇魔法解いてもらえますか?」
「えー。でもこの光景面白いですよー。」
「いいから!早くしてください!!」
闇魔法解除っと。グルーミーバランスは消え普通の地面へと戻った。
「このクソガキ~!」
案の定殴ってきた。結界魔法は解除しておかなくてよかったぁ。
「みなさん!落ち着いてください!一応肩書持ちなのですから!あなたたちじゃこのお方には敵いません!」
悔しがっている。この光景どっかで・・・。あ、思い出した。サリヴァンの学生たちとテストと称して戦った時の顔とそっくりだ。これがデジャブ、というやつか。
「ハルビアさーん!ほら、攻撃してくる~!俺一般市民なのに~!!」
「攻撃が一つも通じない一般市民がいるかよぉー!!」
「灯生様もご冗談がすぎますよ。君たち6人も肩書持ちなのですから態度を改めてください。いいですね。」
「わ、わかりました・・・。」
「それじゃみなさん。ギルマスの部屋にご案内します。」
ーギルマスの部屋。
「お前たちは何をやっているんだ!俺も負けた人に敵うわけがないだろう。」
「はぁ?ダンカイルさんが負けた?なんの冗談ですか?」
「冗談ではありません。僕も見ていましたから。」
「ハルビアさんも!?こいつは一体なんなんですか!?」
「とりあえず自己紹介しろ。話しはそれからだ。」
「ちっ、クソが!俺は剣聖のコーネリア。」「俺は瞬光のギリアン。」「僕は双乱のモロントです。」
「俺は巌壁のドーガリオンだ。」「あたしは花弓のヘルファン。」「私は魔導士のロッシーニよ。」
「灯生君。もう知っていると思うがこいつらが6人の肩書持ちだ。お前らこちらが。」
「灯生です。それから、ルーナ、リア、セリーヌ、アーロだ。それでギルマス、もう帰っていいでしょうか。」
「ちょっと待てよ!なんでこんな奴がいるんだよダンカイルさん!俺たちは実力でここまでやってきたんだ!なんでこんなひ弱な奴に負けるんだ!!」
「コーネリア、まぁ落ち着け。それは俺にもわからん。」
「もしかして、召喚された魔王はこいつじゃないのか?」
「お、召喚のことを知っている、ということは勇者のことも知っているんですかー?」
「そりゃもちろん!私が勇者召喚を行ったのですから!!」
「おい!ロッシーニ!それは内密のことだろ!?」
「あら、そうでしたかしら!」
よくもまぁよく素性が知らん奴がいるのにこうもペラペラと。まぁでも情報は聞き出せそうだ。
「ロッシーニさん!勇者を召喚したらしいですが、ほ-んとですかぁ?」
「なーに?疑う気?」
「ほんとなら今その勇者様はどこにいるんですかぁー?」
「そんなのあたしたちが預かって見ているに決まっているでしょう!」
ほんとにペラペラしゃべったな。口軽すぎだろ。
「それでそれで~、その勇者様は今どちらに~?」
「そんなの城に決まっていますわ!」
「こら!ロッシーニ!部外者に内密のことを言いすぎだ!!」
「別に秘密にしろだなんて言われていませんわよ。」
「まぁいいじゃないですか。これで戦争の火種を作った人が特定できたんですから。それでロッシーニさん、自分が何をしたか分かっているんですか?」
「そんなこと知りませんわ。私は王や貴族に言われた通りにやっただけのこと。愚痴を言われる筋合いありませんわ。」
なるほど。これが王国側のやり方なんだな。どうやら相当戦争好きでいらっしゃるようで。
「王国側の考えは分かりました。」
「戦争になれば灯生君はどちらにつくつもりかな。王国か魔人か。」
「さぁご想像にお任せしますよ。」
と言って俺たちはギルドを去りハルビアさんの家に帰った。
まぁあのロッシーニとかいう魔導士に聞くまでもなかった。スキル『思考念熟』である程度の情報は分かっていた。彼女が言っていたことも事実、とんだ口軽女だな。それに勇者の居場所まで知れたのは好都合だ。まさか奴隷の首輪を付けさせるとは。この王とは内側ともども腐っているようだ。
あと気になるのは獣人の奴隷だな。