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9 獣人の内情


その日の夜俺とハルビアさんはあることについて話し合った。


「先の戦争のについて知りたいんですが?」


「獣人国 ケルバとの戦争ですね。ほぼ一方的に王国側が戦争を仕掛けたという感じです。」


「奴隷になった獣人もいるんですよね?」


「はい、主に貴族間での話しですが、獣人の奴隷売買が裏で行われているようです。」


その中で運よくリアは生き残ったという訳か。


「奴隷売買はかなり広まっているのでしょうか?俺は獣人を助けたいと思ています。」


「僕もそれには賛成です。王国の一部の貴族間での取引らしいと、それくらいしか情報はありません。」


「とすれば、5大貴族とやらが関わっているに違いありませんね。5大貴族ってどういう人たちなんですか?」


「各都市を任されているのが5大貴族です。階級上位から言うと、マトシリカにカンタレラ公爵、ロドジーにメディシス侯爵、ケルバにドカチリチ伯爵、ドミルコにグゼレー伯爵、プメールにサルタヴァ伯爵といった順で都市を治めています。」


「ロドジーというのは初めて聞く都市の名前なんですが?」


「ダンタリア帝国との間にある都市です。防衛都市とも呼ばれています。この中でも一番頭がきれるのはドカチリチ伯爵、獣人国 ケルバに戦争を仕掛けた張本人です。」


「そのドカチリチから攻めるのが得策でしょうか・・・。」


「それがよいでしょう。ドカチリチは奴隷売買でほとんど王都にいるはずです。城内でも奴隷がいる可能性はあります。」


「とすれば、城内に忍び込むしかないようですね。」


「ですね。でもどうやって?」


「そこは俺に任せてください!あ、因みに言ってなかったですが勇者も奴隷になっているようです。」


「その情報はどこから!?」


「ちょっと肩書持ちの頭の中を覗き込んだだけですので、ま、大丈夫ですよ!」


「そ、それはスキルですか??そんなもの聞いたことが・・・。」


「まぁそんなとこです。」


「それより魔王の情報は何か分かっていますか?」


「それがまだ・・・アルファスからまだ念話が飛んでこないのでなんとも。」


「それでは奴隷救出には僕と灯生様がするということでよいでしょうか?」


「ハルビアさんも行くんですか?危険すぎます!」


「大丈夫ですよ。今のミンチェスター家で一番強いのは僕なので!お役に立つと思います!」


「分かりました!それでは明日に決行ということで!」


「かしこまりました。」



ーその頃アルファスはというと。


「魔王様の魔力が感じられたのはここら辺だったはずだが・・・」


アルファスの読み通り、魔王城跡地に赴いていた。気が付くと、崩れ欠けている玉座に影が。


「おう、久しいのう、アルファス。何百年ぶりか。」


「ま、魔王様!?お久しぶりでございます。魔界から召喚されたのですね。」


「そうみたいだ。魔界でくつろいでおったのに、誰だ、この我をこの地上に引き戻した輩は。」


「それは人間側のランドベルク王国でございます。先にあちらが勇者召喚を行ったためかと。」


「そういうことか。まだあ奴らは戦争がしたいのだな。全く懲りない輩だ。」


「そ奴らを食い止めようと今の主が動いております。」


「ほほー!!スライムの帝王たるお主が敵わぬ相手だと!それは会ってみたいの!」

「その前にアルファスよ。先の大戦に貴様は死んだと聞かされたのだが、今まで何をしておったのか。」


「仲間にハメられたのかと。気づけば小さな箱に閉じ込められておりました。」


「あぁそれはジャラマンとその一味じゃな。我らをハメよったか。まぁ復活した際に全員諸共始末したがな。『リッサの蟠園ばんえん』でな。」


「革新派の一派ですか!?とすれば私が閉じ込められていた箱はもしかすると!?」


「うむ。『リッサの匯石かいじょう』だろうな。ところでそのリッサの行方は分かるか?あともう一人の四天王、トゥルルガリアンの行方もだ。」


「私も今の主にテイムされてから魔力の痕跡を探しているのですが、今だ見つからず。」


「ということは、お主のようにリッサが創造したⅩ玩具ディスジュエに引き込まれておるやもしれん。微量だが魔力は感じるからの。」


「なんと!?まずはお主の主人に会いに行きたい。アルファスよ。はっきり言ってよい。悪魔の我とお主の主人、どちらが強いか?」


「言ってよろしいので?」


「あぁもうよい。その反応で分かった。お主の魔力も以前より増しておるしな。相当な手練れだろう。」


「はい。魔界の中でも早々敵う者はいないでしょう。私の見立てですが。」


「お主がそこまで言うのだ。ますます会ってみたい!2人の四天王探しはその後だ!」


「御意。」


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