日中はハルビアさん宅で過ごし、夜に行動することにした。
「ひなりさん、どこに行くんですか?」
「何かひそひそとやっているのは知ってるにゃ!」
「灯生様、話しては?」
「うん、わかった。」
夜にハルビアと一緒に奴隷の獣人と勇者を救出することを話した。
「危険すぎます!私たちも行きます!」
「城の中は何があるか分からない。ルーナたちを連れてはいけないよ。」
「リアたちは足手まといかにゃ?」
「そういうことじゃない、少人数の方が上手く行くからだ。それにやることはあるよ。奴隷になっている獣人たちをここに連れてくるから、介抱してやってほしい。」
「それくらいなら出来るにゃ!リアの仲間を助けるにゃ!」
「私もそれくらいなら・・・気を付けてくださいね。」
「うん!下手なことはしないよ!」
「それで灯生様、どうやって城内に忍び混むんですか??」
「それはこうやってですよ。」
◈スキル『隠蔽変化』
「これでギルマスに変わっただろう!ハルビア!」
「それもスキルですか??」
「まぁそんなとこだ!さ、普通に城の中に入るぞ!」
「分かりました!」
ーランドベルク城
城門の兵士たちは疑う余地もなく普通に通してくれ無事に城内に入ることができた。
「灯生様。ここからどうやって探すんですか?」
「それも問題ない。」
◈スキル『ディテクト』
「どうやら地下のようだ。勇者もそこにいる。」
「地下への道はこちらです!」
ハルビアに案内され地下に。兵士もいたが適当にあしらった。
獣のような臭いと腐ったような臭いが混じり吐き気が凄い。
到着すると監禁されている獣人が数十人はいる。そして勇者らしき人間もいた。
みな奴隷の首輪をされていたため解除しハルビア宅へとワープさせた。獣人たちと勇者はルーナたちに任せ、あとは・・・。この腐ったような臭いの原因だ。
「灯生様、これは!?」
「死体だな。こんなこと、許せない・・・。こんなゴミみたいに積み重ねられて、絶対に許せない。」
「灯生様・・・?」
前世の俺の姿を思い出させる光景だった。俺はあんな劣悪な環境でも何とか生きていた。でも、この目の前のかつて平和に暮らしていたであろう獣人たちの死体を見ると腹が煮えたぎって仕方がない。どこの世界だって、死者をこんな形で冒涜することは絶対に許せない。
「ハルビアさん、この人たちを王都外にワープさせます。そこで弔ってあげてください。それから。」
◈スキル『創成生造』
花の種を作った。俺の知っている花、菊の花だ。
「焼いて土に弔った後、この種を。」
「これは?俺の国の死人に捧げる花の種です。安らかにと願いを込めて。」
「分かりました。」
王都郊外の離れた場所へ、ハルビアと死体を運んだ。
「それでは、後で迎えに来ます。」
「灯生様はどこへ?」
「まだ城でやることがあるので。」
俺は城へとテレポートした。やるべきこと。こんな事態を招いた人物。絶対に許さない。
「そこの衛兵、ドカチリチ伯爵はどこにおられる?」
「これはギルマス殿!ドカチリチ伯爵ならこの上階にあります客間にて滞在中でございます!」
「うむ。ありがとう。」
ーランドベルク城 上階 客間。
コンコンッ!
「誰だ!こんな夜に!」
「ギルマスのダンカイルです。急ぎお伝えしたいことがございまして。」
「あぁお前か!今は取り込み中だ!明日にしろ!」
「奴隷についてなのですが。」
「なにー!?奴隷がどうかしたのか!」
とドカチリチがドアを開けた瞬間、一発殴った。
「お、おい!貴様!私を誰だと!」
◈結界魔法 空間1/8
なんだこのデブは。臭すぎる。それに口の周りが血だらけ・・・何を食っていたのだ。ん?あれは・・・獣人か?こいつ、人を食っていたのか?そんな風習がこの世界にはあるのか??
「お前、何を食べていた?」
「はぁーん?なんで貴様なんぞに教えるものか!?」
「そうか。それならば少し頭の中を覗いてみようじゃないか。」
◈スキル『思考念熟』
間違いない。こいつが獣人国を襲った、いや襲わせた張本人か。それに国王も関わっているとは。そして奴隷にさせたのもこいつの指示か。それから・・・イヴアダ教徒か、人を食う習慣があるのはこの教会の教えか。
「それで、イヴアダ教徒だということは分かったが、なぜ人を食う習慣があるのだ?」
「知らぬわ!知っていてもお前なんぞに教える義理はない!!」
「そうか、それじゃ、お前の今後のことを話そうか。」
「なーにを言っているんだ!こんなことをしてタダじゃおかないぞ!国王に言いつけてやるからな!」
「一生奴隷に落ちるか、一生苦痛に
「何を言っているんだ貴様は!?私を誰だと思っているんだ!?」
「早く決めろ、5秒数える間に決めろ。5、4・・・」
「ま、待て!何か欲しいものがあるんだろ?何か言ってみなさい!私が直々に用意させる!」
「2・・・1・・・。はい、時間切れだ。俺はこの魔法だけは使いたくなかったんだがな。お前は永遠の地獄行きだ。拷問魔法『
魔法を掛けた瞬間、白目をむき、言葉もロクに喋れなくなり意識も無くなるが、生きているのは事実。
拷問魔法『
この魔法は精神に影響を及ぼす。自分が苦痛だと思う事象を脳内で無限ループさせる。現実の意識はなくなり、廃人と化す、という魔法だ。この他の拷問魔法にももっと恐ろしいものがある。この魔法こそ禁忌と言っていい。
が、それほどのことを犯したのだ。目には目を歯には歯を、それが俺の主義だ。