ー翌日の早朝。
「さ、みなさん!ケルバに向かいますので荷車の方へ!」
「アポロン君もほら。」
「灯生お兄ちゃん、大丈夫かな。」
「大丈夫だよ。ゆったりくつろいで!」
獣人たちと勇者を荷車に入れてから。
「ハルビアさん、これを。」
「これは?」
「俺の魔力とスキルを付与している指輪です。念話も出来るので何かあれば知らせてください。」
「わかりました。ありがとうございます。どうかお気をつけて。」
ハルビアに見送られ俺たちは北東にあるケルバに向かって走り出した。その途中にあるバザール都市のベジハイドに一旦寄ることにした。
ー道中。
「アポロン、みんなを紹介しておくね。まずは。」
「私はルーナ!ハーフエルフだよ。」
「よ、よろしくお願いします!!アポロンです。ハーフエルフってなんですか?」
「ルーナ、見せてあげな。」
「うん!はい、どうぞ。普通の人より耳が長いの。私はハーフエルフだからそこまで長くはないけど。」
「こんなに長い耳、見たことないです。きれいな耳ですね!」
「あら、ありがとう!」
「リアはリアにゃ〜!黒猫の獣人にゃ!」
「リアさん!猫さんですね!よろしくお願いします!」
「私はセリーヌ、これでもラミアっていうモンスターです。よろしくね!」
「よろしくお願いします!ラミアってなんですか?」
「下半身がこんな感じで蛇なんです!」
「うわぁぁぁ!ほんとに蛇だ。触ってもいいですか??」
「どうぞ!」
「すべすべしてます!きれいな色の肌ですね!」
「ありがとう!お世辞が上手なこと!」
「私はロータスでございます。メイドでございます。」
「よ、よろしくお願いします!」
「あともう一人、いるんだけど今出かけてるんだよね。帰ってきたらまた紹介するよ。それから、この荷車を引っ張ってくれてるのが!」
「あっし、ガルゲゾのカメ吉と申します、坊ちゃん!よろしくでせぇ!!」
「カ、カメが喋った!!」
「念話だよ。こっちの世界ではカメはガルゲゾって言うんだ。それでこいつは俺がテイムしたカメ吉。こんなでっかいカメ、見たことないだろ?」
「うん!初めて見た!喋るでっかいカメ!!かっこいい!!」
「ありがとうでせぇ!!」
「これが俺の仲間たちだ。みんなアポロンの味方だよ!」
「うん!みんなよろしくね!」
「なんかかわいい子供が出来たみたいだね!」
と言うと、女性陣がすごい目で見てきた。なんか変なこと言ったかぁ〜!
獣人のみんなも美味しいご飯とふかふかの寝床で安心しているみたいだ、助けてよかった。
あのままだったらどうなっていたことか。自害している俺が思うのもどうかと思うが、救える生命は救いたい。
俺が自害しないでそのままあの世界で生きていたらどんな生活を送っていたのだろうと、ふとした瞬間に思うことがある。あのままあの生活を続けていたら俺は幸せになっていたのだろうか。いや、そんなことはないだろう。あれは幸せとは程遠い。あの世界には幸せというものは無かったのだ。自害したおかげで、今の仲間に会えている。それに今の俺は心配事はいろいろあるが、前世よりも幸せだと胸を張って言える。これだけは間違いないのだ。
「ひなりさん?大丈夫ですか?」
「あ、うん!大丈夫だよ!」
「疲れたらいつでも私の膝を使っていいですからね!」
「何言ってるのー。」
「こら、ルーナ!それはリアの役目にゃ〜!リアの方がモフモフで寝心地いいにゃ~!」
「ルーナ!リア!私の膝の方がすべすべしてて絶対いい寝心地です!!」
「兄ちゃんと寝るのは僕だよ!」
「あー、もう誰か止める役はいないものか。」
「皆さま、少しお静かに!」
お、ロータス!そうだ!ロータスがいたんだ!止め役にはロータスかな!!
「灯生様のお世話をするのは私メイドの仕事ですので。みなさんはお寛ぎください。」
「え!?ロータスまで〜!勘弁してよ~誰か止める役いないのか~!」
「モテモテで何よりでせぇ!!」