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4 宝箱


奇襲と言ったら夜なんだよな。まぁ王道か。

さてと、飛んで探しますか。


◈アルファス、聞こえるかい


◈聞こえますぞ。


◈よし。それじゃ分担して探そうか。確か、南東の方角だったな。手分けして探そう。


◈御意。


二手に分けれ王国軍らしき駐屯地を探した。そして数分後。


◈灯生殿。見つけました。微弱ですが、焚き火の煙と馬の匂い。それに風に混じる鉄の臭い。王国軍の駐屯地です。


◈そうか、でかした。そっちに合流する。


俺はアルファスの元へ合流し、少し小高い丘へと降り立った。

丘の上から駐屯地を見下ろした。そこには数百人規模の兵が野営しており、すでに補給が完了した様子だった。指揮官と思われる男が地図を睨みながら、部下たちに何かを命じている。


「あれ、夜なのに寝てないね。明日にも再侵攻してくるつもりだな。」


「どうします?潰しますか?」


「まだだ。数が多すぎる。無計画に突っ込んでこちらが怪我を負えば、元も子もない。」


「では……偵察を?」


「いや、撹乱かくらんで様子を見ようじゃないか。夜の静寂に、不安の種を植えるのさ。」


俺は右手を掲げた。

◈幻覚魔法 ナイトミア・リフレイン


次の瞬間、駐屯地のあちこちから不気味な音が鳴り響き始めた。赤子の泣き声、老兵のうめき声、獣のうなり声。どれも、かすかに、しかし確かに兵たちの耳に届く音。


「何だこれは!?」「敵襲か!?」「モンスターだ、モンスターが出たぞ!」


王国軍はもはや混乱状態にある。


「これで一晩中、まともに眠れないだろう。疲れと恐怖が積もれば、戦意も削れる。」


「流石ですな、灯生殿。」


「まぁね。お楽しみはこれからだよ。さてあちらの指揮官に会おうじゃないか。」


俺とアルファスは錯乱状態にある駐屯地へと足を降ろした。

少し見まわして他のものとは違い、ひと際大きいテントがあった。ここに指揮官がいるかな。

テントに近づくと、2人の兵が入口を守っていたが、幻覚により錯乱状態にある。

俺は幕をめくって中に入った。

そこには、1人の男がいた。鋼鉄の胸当てをつけたまま、椅子に座っており、目は血走り、顔には疲労と怒気が滲んでいた。


◈解除


俺は指揮官だけ幻覚魔法を解除した。


「き、貴様は何者だ!?こ、これを仕組んだ者か!?」


「そうですが、何か?」


「な、何か、だとぉ!?こ、こんなことをして許されると思っているのか!?」


「誰が?何を?許すって?」


「それは、この地を治めていらっしゃるドカチリチ伯爵だ!!」


「あぁ、あの醜いブタか。あれは俺が生きたまま殺したけど、それで、君たちはあのブタの部下か。」


「アルファス、その醜いデブを身動き取れないように連れてこい。」


「御意。」


「な、何をする!?」


俺たちはテントから出た。兵達はまだ錯乱状態にある。さて集めるか。


◈幻覚魔法 メモリア・ミラージュ


そう唱えると、兵たちがだんだん集まってきた。まるで蚊取り線香のようだ。

数分後、兵の集合体が完成した。


「さて、指揮官殿。よーく見ておくんだよ。」


「な、何を、する気だ!?」


「何って、人の生命を奪うんだ。それ相応の対価が必要だと思わないかい?」


「何を言っている!?」


「まぁ見てたら分かるよ。」


◈拷問魔法 正義の断頭台ギロティナ・ジャッジメント


一瞬にして兵の首が跳ねられた。


「ぎゃああああああッ!!う、あぁ・・・ぐ、首が!?」


◈スキル『創成生造』 宝箱生造

◈転移魔法 対象を宝箱へ


「貴様ぁ!何をした!?」


「何って、見ての通りだよ。ギロチンして首を宝箱の中に入れてあげた、はい、プレゼント。」


「何を言ってるんだ!?悪魔か、そうだ、お前は悪魔だ!?」


「悲しいな。同じ人間族なのに悪魔呼ばわりとは。悪魔の方がよっぽど優しいのに。ね、アルファス。」


「灯生殿。ジョークが御上手なようで。」


「貴様ら、頭おかしい・・・。」


「頭がおかしいのは君たちの方だよ。さて、君はこの宝箱をもって王城へと向かうんだよ。」


「ここから王城までどのくらいあると思って・・・。」


「そんなものは言うまでもないね。あ、あとその首だけの人間たち、まだ生きているから。幻覚魔法で幸せな気分になっているから、それはせめてもの情けだよ。さて、もう帰りたいから、君はちゃーんと王城へ持ってくんだよ。いいね?」


「そんなすぐに王城へ。」


◈転移魔法 テレポート 王城へ


「よし、仕事完了だ!この体だけ残った人間たち、どうしようかな。アルファス食べるかい?」


「いや、それは流石に遠慮します。流石に美味しくなさそうなので。」


「それじゃ、地魔法で埋めて肥料にしようか!」


ささっと埋めて俺とアルファスはケルバ城へと帰還した。


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