「ヴィーナス様、そんなことよりほかに決めることはないですか?」
ヴィーナス様は驚いたような顔をしていた。
「あら、のってこないんですか?寂しいですね。でも、心配してくれてありがとうございます。そうですねぇ、メイドさんの服装はどうします?」
メイドさんの服装かぁー、いやぁ、これは譲れない!!机をダンっと叩きヴィーナス様に伝える。
「半袖でミニスカのメイド服でお願いします。ヴィーナス様」
ヴィーナスは腕を組み頷いた。
「……ふむふむ、なるほど、気持ちもわからなくはないですが却下します。それって漫画のコスプレメイドの知識ですよね……?」
漫画のメイド服いいじゃん!
露出多くて可愛いし!最高じゃん!
なんでさ……?
「いいですか星くん、メイドというのは掃除や料理など様々な業務を行うのですよ?その際、埃や汚れ、火傷、切り傷、様々なものから身を守るのがメイド服の役割、いわばメイドの戦闘服です。エッチなことをするための服なんかじゃないんです。」
「……あっ……えっ?」
いきなりの正論に一瞬言葉を失い、目を瞬かせる。
「いやいや、確かに正論ですけどヴィーナス様だってさっきメイド=お仕置きだなんて言っていたじゃないですか!」
「はい、言いましたよ?何か問題があるんですか?」
当然と言わんばかりに答える。
「……も、問題ありますよ?なんでそんな、え、俺がおかしいんですか?」
俺を諭すように語りかけてくる。
「星くん、いいですか?丈の長いメイド服の方がお仕置きする時にとってもエッチ……になりますよ?それに長いスカートに暗器とか銃が隠されているほうがカッコよくてロマンがあるじゃないですか」
……確かに、スカートから暗器を取り出して戦うメイドさんって漫画やアニメでもかっこいいよな、そんなメイドさんにお仕置きができるのか、確かに、エッチだ、エッチなメイドさんいいな、とても良い……
「鼻の下が伸びて気持ち悪い顔になってます。最後なんかエッチなことしか考えてないじゃないですか!」
ヴィーナス様の視線が痛い。
ば、ばれてる、ごまかさないと……
「……そんなこと、考えるわけないじゃないですか……やだなぁ、もう!」
「……でも、でもですね、ヴィーナス様、服装はヴィーナス様の言う通りでいいんですけど、ドジっ子属性はなしでお願いします!」
ため息をつき、呆れた顔をされた。
「誤魔化してもムダですよ?全部見えてますから」
「じゃあドジっ子属性は無しにしておきますよ?……星くんは逆にお仕置きされたいんですもんね?」
「ち、違いますってば……!」
……って、なんで今ちょっとだけ動揺したんだ俺……?
ヴィーナス様のは髪を指でくるくるといじりながら、意地悪そうに笑った
「はいはい、分かってますよ(棒)そんな慌てないでください、全く、星くんは可愛いですね」
……この女神、性格が悪い。これ以上変なことを突っ込まれる前に違う話題に切り替えないと
「メイドの件はこれで終わりですよね?ヴィーナス様、それでメイドさんが完成するまで俺は……どこで何をしたらいいですか?」
「あっ、話をそらしましたね?まあいいですか、そうですね〜完成まで時間がかかるのでそれまでここで異世界の言語の読み書きや常識を勉強していきましょうか!」
え、それって完成するまで、ヴィーナス様と一緒に生活するってこと?
「はいそうです。よかったですね?こんな美人で可愛い女神と生活できますよ」
うわ、自分で美人で可愛い女神って言ったよ。確かに美人だけどさ……
「……ヴィーナス様、そう言えば時間がかかるって言ってましたけど、どのくらいで完成するんですか?」
ヴィーナス様は、少し考え込んでから答えた。
「ざっと、数百年ぐらいですね、まぁ一瞬ですよ」
ヴィーナス様の言葉に固まった。
「……いやいや、全然一瞬じゃないじゃないですか?」
神様と俺たちだと時間の概念が全然ちがう……?ていうか、俺、数百年もここにいるの!?てっきり長くても数年ぐらいだと思っていたのに
「我慢してください、究極のメイドを作りますから!」
どんだけ我慢するんだよ!流石に長過ぎる……
俺は無事に異世界生活ができるのだろうか。
あれ、俺の寿命もたないよな?
「……俺、本当に異世界に行けるのか?」