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3-8 スタンピード2

【タイトル】


 街の正門前、石造りの門の内側には、鉄盾級以上の冒険者たちがずらりと集まっていた。

 槍や剣、弓矢、魔術杖など、様々な武器が陽光に反射してキラリと光る。


 遠く、森の方から黒い点が無数に揺れ動いている。

 ゴブリンやホフゴブリン、オークらしきシルエットが次第に近づき、ざわめく音が耳を刺す。


「みにゃさん、あれがスタンピード……!」

 ルナは緊張で息をのむ。


にゃん民: うわ、すごい数いるぞ!

にゃん民: マジでRPGの大規模バトルじゃん

にゃん民: 頑張れルナちゃん、俺たちがいるから!


 冒険者のリーダー格と思しき中年剣士が声を張り上げる。


「全員、前進!

 森へ向かう前で敵の数を減らせ!

 鉄盾級以上は突撃して雑魚を散らし、被害を最小限にするんだ!」


 号令とともに冒険者たちが一斉に駆け出す。

 ルナもその波に乗り、前線へ飛び込んでいく。


「にゃーっ!」


 ネコ発勁を繰り出せばゴブリンが吹き飛び、にゃんこ百烈掌を使えばホフゴブリンのコアを一瞬で砕く。

 以前は苦戦した相手も、同接の増えた今のルナには対等ではなかった。


にゃん民: 強っ

にゃん民: 鉄盾級とは思えぬ戦闘力w

にゃん民: さすがルナちゃん、無双してる!


 ふと、ルナが視線を巡らせると、以前ルナに絡んできたハゲ頭の荒くれ者たちが、ホフゴブリン数体に取り囲まれているのが見えた。


「くそっ、助けて……ぐぁっ!」


「はっ、はぁ……!」


 彼らは押され気味で、危うい状況だ。


「みにゃさん、行きますにゃ!」


 ルナは素早く移動し、光の残像を伴うように一瞬でホフゴブリンたちの背後をとる。

 にゃんこ百烈掌を叩き込み、コアを一撃で粉砕すると、ホフゴブリンは呻き声とともに消えていく。


「え……お前、猫耳の姉ちゃん!?

 前ギルドでちょっかい出したけど、まさかこんなに強いとは」


 ハゲ男が驚きと感謝の眼差しをルナに向ける。


「ありがとよ……今度一杯奢らせてくれ」


「い、いえ、お気になさらずですにゃ!

 みにゃさんが見てくれてるおかげで私は強くなれてるんですにゃ!」


にゃん民: ハゲとの和解きたw

にゃん民: 飲みニケーション発生…?

にゃん民: ネコと和解せよ!


 ルナは微笑み、再び前線へ向かう。

 オークたちも必死の突進を見せるが、ルナの攻撃は彼らを苦もなく倒していく。

 他の冒険者たちも息を合わせ、圧倒的な物量のはずだったモンスター群は次第に減っていく。


「もうほとんど片付いたですにゃ……!」


にゃん民: スタンピード余裕だったな

にゃん民: 異世界の加護に守られてるルナちゃん最強

にゃん民: いや、俺らの加護だろ!

にゃん民: あと少しで完全制圧か?


 その時、ルナの耳が捉えたのは、不気味な笑い声。


「くくく……妙な冒険者がいると思って見に来たが、なかなか楽しませてくれるじゃないか……」


 木々の陰から、黒い影がちらりと姿を見せる。

 人型だが、その容姿は闇に溶け込むようで判然としない。

 ただ、笑い声と底知れぬ気配が、ルナの背筋を冷たくする。



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