【タイトル】
街の正門前、石造りの門の内側には、鉄盾級以上の冒険者たちがずらりと集まっていた。
槍や剣、弓矢、魔術杖など、様々な武器が陽光に反射してキラリと光る。
遠く、森の方から黒い点が無数に揺れ動いている。
ゴブリンやホフゴブリン、オークらしきシルエットが次第に近づき、ざわめく音が耳を刺す。
「みにゃさん、あれがスタンピード……!」
ルナは緊張で息をのむ。
にゃん民: うわ、すごい数いるぞ!
にゃん民: マジでRPGの大規模バトルじゃん
にゃん民: 頑張れルナちゃん、俺たちがいるから!
冒険者のリーダー格と思しき中年剣士が声を張り上げる。
「全員、前進!
森へ向かう前で敵の数を減らせ!
鉄盾級以上は突撃して雑魚を散らし、被害を最小限にするんだ!」
号令とともに冒険者たちが一斉に駆け出す。
ルナもその波に乗り、前線へ飛び込んでいく。
「にゃーっ!」
ネコ発勁を繰り出せばゴブリンが吹き飛び、にゃんこ百烈掌を使えばホフゴブリンのコアを一瞬で砕く。
以前は苦戦した相手も、同接の増えた今のルナには対等ではなかった。
にゃん民: 強っ
にゃん民: 鉄盾級とは思えぬ戦闘力w
にゃん民: さすがルナちゃん、無双してる!
ふと、ルナが視線を巡らせると、以前ルナに絡んできたハゲ頭の荒くれ者たちが、ホフゴブリン数体に取り囲まれているのが見えた。
「くそっ、助けて……ぐぁっ!」
「はっ、はぁ……!」
彼らは押され気味で、危うい状況だ。
「みにゃさん、行きますにゃ!」
ルナは素早く移動し、光の残像を伴うように一瞬でホフゴブリンたちの背後をとる。
にゃんこ百烈掌を叩き込み、コアを一撃で粉砕すると、ホフゴブリンは呻き声とともに消えていく。
「え……お前、猫耳の姉ちゃん!?
前ギルドでちょっかい出したけど、まさかこんなに強いとは」
ハゲ男が驚きと感謝の眼差しをルナに向ける。
「ありがとよ……今度一杯奢らせてくれ」
「い、いえ、お気になさらずですにゃ!
みにゃさんが見てくれてるおかげで私は強くなれてるんですにゃ!」
にゃん民: ハゲとの和解きたw
にゃん民: 飲みニケーション発生…?
にゃん民: ネコと和解せよ!
ルナは微笑み、再び前線へ向かう。
オークたちも必死の突進を見せるが、ルナの攻撃は彼らを苦もなく倒していく。
他の冒険者たちも息を合わせ、圧倒的な物量のはずだったモンスター群は次第に減っていく。
「もうほとんど片付いたですにゃ……!」
にゃん民: スタンピード余裕だったな
にゃん民: 異世界の加護に守られてるルナちゃん最強
にゃん民: いや、俺らの加護だろ!
にゃん民: あと少しで完全制圧か?
その時、ルナの耳が捉えたのは、不気味な笑い声。
「くくく……妙な冒険者がいると思って見に来たが、なかなか楽しませてくれるじゃないか……」
木々の陰から、黒い影がちらりと姿を見せる。
人型だが、その容姿は闇に溶け込むようで判然としない。
ただ、笑い声と底知れぬ気配が、ルナの背筋を冷たくする。