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3-9 四天王

 森の陰から覗いていた謎の影が、ゆっくりと冒険者たちの前に姿を現した。


 闇色のローブをまとい、その中でぼぅっと赤い炎が揺らめく。

 まるでローブの内部が火で満たされているような不気味な存在に、冒険者たちは息を呑む。


「にゃ、にゃんだあれは……?」


にゃん民: なんだこの不気味なヤツ

にゃん民: 闇に溶ける感じ、いかにもボスキャラ

にゃん民: 来たぞ…魔王四天王的なやつか?


 ルナが身構える中、その存在は低く笑い声を立てた。


「私、魔王四天王の一人、エンジョルノと申します。」


 その名を口にすると同時に、ボッと火が燃え盛り、ローブの裾から赤い光がはね上がる。


にゃん民: ガチで四天王じゃねえかwwww

にゃん民: 知っていたのか⚪︎電!

にゃん民: やつは四天王の中でも... どうなんだ?


「この程度の街、スタンピードで更地にできると思ったのですが……

 まったく、妙な冒険者(あなた)のせいで、私自ら出張る羽目になりましたよ。」


「魔王四天王だと!? まさか魔族が糸を引いていたのか!」

 リーダー冒険者が怒声を上げる。


にゃん民: スタンピードの黒幕かよ

にゃん民: ルナちゃん危ない!


「とりあえず、雑魚どもは消し炭になりなさい。」


 エンジョルノが右手をかざすと、そこから赤い火柱が吹き出し、炎の竜巻が冒険者たちを襲った。


「無我着火ファイヤー!」


 凄まじい熱と光が広がり、ルナ以外の冒険者たちが悲鳴を上げる。

 炎が巻き込む中、控えていた魔法使いが必死に「ウォーターボール!」と叫んで防御魔法を展開。


 水の球が炎を弱め、冒険者たちは焼死こそ免れたものの、重度の火傷と衝撃で全員が戦闘不能に陥った。


「くっ……ダメだ……もう動けん……」


 荒くれ者たちも地面に伏し、息も絶え絶え。

 先ほど助けたハゲ頭の冒険者が、ルナに苦しそうに視線を向ける。


「すまねぇな、姉ちゃん……

 俺たちじゃ歯が立たねぇ……もうあんたしか頼れる奴がいねえ……

 あいつを、倒してくれ……!」


 血走った眼差しに、わずかな懇願の色が混じる。


にゃん民: ヤバい、皆倒れた!?

にゃん民: ボスキャラやばすぎる

にゃん民: ルナちゃん、もうルナちゃんしかいない!


 ルナは息を詰まらせる。

 魔王四天王と名乗る魔族が現れ、仲間となりつつあった冒険者たちを一瞬で無力化した。

 コメント欄も騒然とする中、彼女は決意を固めるしかなかった。


「みにゃさん……皆さん……私、やるしかないですにゃ!」



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