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4-3 新たなるVスキル

 ルナはVTubeスタジオの通知に指先を伸ばし、表示された新たなスキルを確認する。


「『Vスキル: BAN』……?これが新しく使えるようになりましたにゃ!」


 コメント欄がさっそく反応する。


にゃん民: BAN!?

にゃん民: 敵をBANってこと?配信的なネタじゃんw

にゃん民: 相手ごと消せるとかチートすぎる!


「えっと、スキル説明を読んでみますにゃ……」


 ルナはスキル詳細ウィンドウを開く。

 そこには「BAN: 対象の敵が持つスキルを1つ封印する」と書かれていた。


「スキルを一つ封印できる……つまり、あいつ(エンジョルノ)の炎を封印すれば近づけるにゃ!」


 コメント欄が一気に盛り上がる。


にゃん民: キタコレ!

にゃん民: 炎封じればルナちゃん殴れる!

にゃん民: バリア消せるとかヤバい!


 しかし、ルナは少し言葉を濁した。

 口を噤んでしまう彼女に、にゃん民が不安になり声をかける。


にゃん民: どうしたルナちゃん?

にゃん民: 何か問題あるの?

にゃん民: まさか、制約とか?


「そ、その……このBANスキル、一回の使用に……100万かかるみたいですにゃ。」


 その言葉を聞いた瞬間、コメント欄の流れがピタリと止まったように感じられた。

 一瞬の静寂が走る。


にゃん民: 100万……

にゃん民: マジかよ

にゃん民: 勘弁してくれwww


 あまりにも高い代償に、ルナは困惑と落胆を隠せない。

 しかし、次の瞬間、画面上部に金色に輝くメッセージが出現し、特別な通知音が鳴り響く。


「……えっ!?す、スペチャが来ましたにゃ!」


 高額スペチャが投げ込まれ、コメントに富豪にゃん民らしき発言が表示される。


石油TheKing: ルナちゃんの命に比べれば安いものです。

 どうか遠慮せず、BANスキルをお使いください。


 その額面を見て、ルナは目を見開く。


「100万……!」


 コメント欄が再び沸き立つ。


にゃん民: ナイスペ!ナイスペ!

にゃん民: さすが富豪にゃん民!

にゃん民: あんたのおかげでルナちゃんが助かる!


「せ、石油TheKingさん……ありがとうございますにゃ……!」


 ルナは感激で声を震わせる。


「エンジョルノ……あなたはもう終わりですにゃ!

 みんなが力を貸してくれたんです。

 みんなの思い、いや、お金を無駄にはできませんにゃ!」


 ルナは拳を握りしめ、視線をエンジョルノに向ける。

 同接と視聴者の支援が形となったこの瞬間、彼女は覚悟を新たにする。




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