魔王四天王エンジョルノが消滅し、ルナは深く息をついて空を仰ぐ。
さっきまで漂っていた焦げた匂いはすこしずつ薄れ、静寂が戻りつつあった。
「よかったですにゃ……みんな、助かりましたにゃ!」
コメント欄はお祭り騒ぎだ。
にゃん民: ルナちゃんおめでとう!
にゃん民: 感動した!マジで100万出すとはw
にゃん民: この世界、俺たちのスペチャ……じゃないや、視聴で変わったな
「100万円のおかげで、この世界の人々が救われましたにゃ!」
ルナは笑顔でそう言うと、コメント欄に「気にしないで!(俺は金出してないけど)」「富豪にゃん民ありがとう!」といった声が溢れる。
「ところで、あの魔族のいた場所に何か落ちているようですにゃ……」
ルナは足元を探り、大きな魔石が光を放っているのを発見する。
透明感を帯び、虹色に輝くその魔石は、今まで見たことのないほど大きい。
「わぁ、巨大な魔石をゲットしましたにゃ!」
にゃん民: デカっ!
にゃん民: これは高値で売れそう
にゃん民: 超レアアイテムじゃん
「レベルはどうなりましたかにゃ?
確かに、エンジョルノを倒したし、経験値が入ったかも……」
ルナがステータスウィンドウを開くと、そこには予想以上の数値が表示されていた。
「レベル……30になってるですにゃ!
やった!!」
にゃん民: レベル30おめでとう!
にゃん民: 一気に上がったな
にゃん民: 本格的に強くなってきた
ルナは喜びを噛み締めながらにゃん民たちに感謝を伝えようとしたその時、後ろから低い声がかかった。
「ちょっといいかい?」
振り向くと、先ほど陣頭指揮をしていた冒険者リーダーが傷だらけの姿で立っている。
肩で息をしながらも、その目は真剣だ。
「あなたに話したいことがある。」
「はいですにゃ……」
ルナは少し緊張気味に返事をして、にゃん民たちも次の展開を固唾を呑んで見守る。