夕暮れ時、柔らかなオレンジ色の光が街並みを包み込む頃、バズリディアの広場では大勢の人々が集まっていた。
中央には即席のキャンプファイヤーが燃え、周囲には美味しそうな食べ物や飲み物が並べられている。
焚き火の明かりが石畳を揺らめかせ、活気あふれる声や笑い声が響いていた。
「こんなに人が集まってるんですにゃ……」
ルナは少し緊張した面持ちで、上座に案内される。
両脇には町長とギルド支部長のガルドが陣取り、まるでこの街の英雄として扱われているようだ。
にゃん民: うわ、VIP待遇w
にゃん民: 宴キタコレ!
にゃん民: ルナちゃんすごい出世だなぁ
「ルナさん、街を守ってくださって本当にありがとうございました!」
シアが両手を重ねてお辞儀する。
その隣には、少し具合が良くなったらしい母親が壁に寄りかかりながら、穏やかに微笑んでいる。
おばさん(シアの伯母にあたる女性)も目頭を熱くしている様子だ。
「いえいえ、みにゃさんが見てくれるおかげで私が強くなれたからですよ。
シアさん、おばさん、そしてお母さんも、大丈夫ですかにゃ?」
「ええ、母も少し良くなりました。
あなたのおかげで安心して治療できます!」
シアが微笑むと、コメント欄にも「よかった」「ほっこり」「異世界優しさ満点」といった反応が流れる。
やがて、町長が手を振り、集まった人々の注目を引く。
その小柄な身体からは想像できないほど、力強い声が広場に響いた。
「皆の者、聞いてくれ!
この街を襲ったスタンピードは、猫神ルナさんのおかげで退けられた!
魔王四天王さえも倒し、我らを救ってくれたのだ!」
「おおおーっ!」
大歓声が上がる。
にゃん民たちも「すげえ!」「英雄だ!」「ルナちゃん最強!」と大喜び。
「ルナさん、あなたは我らが恩人。
今日は思う存分、食べて、飲んで、楽しんでくれ!
さあ、宴の始まりだ!」
町長が両手を挙げて宣言すると、街中から拍手と歓声が巻き起こり、音楽や笑い声が広場を満たす。
「み、みんな……ありがとうございますにゃ……」
ルナは頬を染め、恥ずかしそうに微笑む。
こうして盛大にお祝いされるのは、彼女にとっても初めての体験だった。
にゃん民: 照れてるルナちゃんかわいい
にゃん民: 飯テロ再び、食え食えー!
にゃん民: グルメ系VTuberになる?
その和やかな雰囲気の中、ルナの視界に再びVTubeスタジオからの通知アイコンが点滅しているのが映る。
「また通知が……今度は何でしょうかにゃ?」
ルナは控えめにそのアイコンへと手を伸ばした。