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5-6 世界樹の危機

 落ち着いた木造の室内。


 光苔の柔らかな灯りが、里長と呼ばれるエルフの老人を浮かび上がらせている。

 シンプルな木のテーブル越しに、ルナとみけのすけは静かに彼を見つめていた。


「私はこの里の里長、エルディヴィアと申します。」


 里長は深く頭を下げる。

 その姿は小柄だが、長い耳と長寿を思わせる深い皺が、長年の重責を物語る。


「そして、先ほどあなたをお迎えした者は、私の母、アリュリアでございます。」


「お、お母様ですかにゃ!?」


 ルナは驚きで声をあげる。

 あの銀色の髪をした美しい女性が、老いた里長の母親だなんて、どう考えても若すぎる。


 コメント欄にも驚きの声が溢れる。


にゃん民: 母親!?若すぎるだろ!

にゃん民: エルフの年齢感覚おかしいwww

にゃん民: さすが長寿種族、見た目じゃ分からんもんだ


「ふふ、エルフの年齢は人間とは違いますからね。

 母はこの里で最も美しいと評判なんですよ。」


 里長は苦笑しながらそう言う。

 だが、その表情はすぐに真剣なものへと戻る。


「女神インフルエンシディア様の信託で、あなたが来ることはわかっていました。

 本来、人間を里に招くことは稀なのですが……どうか、お力を貸していただけないでしょうか。」


 里長は目を伏せ、申し訳なさそうに続ける。


「この世界樹は、エルフの命の源、そして我々の生活基盤です。

 しかし、最近、魔獣が根を食い荒らし、世界樹は衰え、里中に負傷者が絶えません。

 我らが戦っても歯が立たず、もう手の打ちようがないのです……。」


 ルナは話を聞くうちに、胸が詰まる思いだった。

 VTubeスタジオがエルフの里へと誘導したのは、まさにこのためだったのだろうか。


「お願いです、猫神ルナ殿。

 あなたの力で、その魔獣をどうにかできないでしょうか。

 里が滅びる前に……」


 里長の声は震え、アリュリアも憂いを帯びた眼差しでルナを見つめている。


「わかりましたですにゃ。

 女神が私をここへ導いたのであれば、私はこの里を救うために戦いますにゃ!」


 ルナは力強く頷く。

 コメント欄も「頼もしい」「ルナちゃんいけるぞ」と応援する声が続く。


「ありがとうございます……!

 あなたがいてくださるなら、我らは希望を持てます。

 さっそく魔獣の巣へ案内させましょう。」


 こうしてルナは、エルフの里を救うため、世界樹を蝕む魔獣との戦いへと踏み出す決意を固めたのだった。



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