落ち着いた木造の室内。
光苔の柔らかな灯りが、里長と呼ばれるエルフの老人を浮かび上がらせている。
シンプルな木のテーブル越しに、ルナとみけのすけは静かに彼を見つめていた。
「私はこの里の里長、エルディヴィアと申します。」
里長は深く頭を下げる。
その姿は小柄だが、長い耳と長寿を思わせる深い皺が、長年の重責を物語る。
「そして、先ほどあなたをお迎えした者は、私の母、アリュリアでございます。」
「お、お母様ですかにゃ!?」
ルナは驚きで声をあげる。
あの銀色の髪をした美しい女性が、老いた里長の母親だなんて、どう考えても若すぎる。
コメント欄にも驚きの声が溢れる。
にゃん民: 母親!?若すぎるだろ!
にゃん民: エルフの年齢感覚おかしいwww
にゃん民: さすが長寿種族、見た目じゃ分からんもんだ
「ふふ、エルフの年齢は人間とは違いますからね。
母はこの里で最も美しいと評判なんですよ。」
里長は苦笑しながらそう言う。
だが、その表情はすぐに真剣なものへと戻る。
「女神インフルエンシディア様の信託で、あなたが来ることはわかっていました。
本来、人間を里に招くことは稀なのですが……どうか、お力を貸していただけないでしょうか。」
里長は目を伏せ、申し訳なさそうに続ける。
「この世界樹は、エルフの命の源、そして我々の生活基盤です。
しかし、最近、魔獣が根を食い荒らし、世界樹は衰え、里中に負傷者が絶えません。
我らが戦っても歯が立たず、もう手の打ちようがないのです……。」
ルナは話を聞くうちに、胸が詰まる思いだった。
VTubeスタジオがエルフの里へと誘導したのは、まさにこのためだったのだろうか。
「お願いです、猫神ルナ殿。
あなたの力で、その魔獣をどうにかできないでしょうか。
里が滅びる前に……」
里長の声は震え、アリュリアも憂いを帯びた眼差しでルナを見つめている。
「わかりましたですにゃ。
女神が私をここへ導いたのであれば、私はこの里を救うために戦いますにゃ!」
ルナは力強く頷く。
コメント欄も「頼もしい」「ルナちゃんいけるぞ」と応援する声が続く。
「ありがとうございます……!
あなたがいてくださるなら、我らは希望を持てます。
さっそく魔獣の巣へ案内させましょう。」
こうしてルナは、エルフの里を救うため、世界樹を蝕む魔獣との戦いへと踏み出す決意を固めたのだった。