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7-6 狂気

 鬱猫シャムの配信画面には、暗い部屋の中、ゴスロリ服と黒髪ツインテール、猫耳、死神の鎌を携えたシャムが映っていた。


 背景には無機質な黒幕、カメラへ向ける眼差しは挑発的で、狂気を孕んでいる。


「みんな〜、今日もシャムだけを見てる〜?」


 コメント欄は一部の熱狂的支持者が「シャム様最強!」と叫び、一方でここ最近の暴挙に呆れたり怒ったりした流入者が増えているらしく、騒然としていた。


視聴者: 次は誰刈るの?

視聴者: シャム様に敵う奴なんていねーよ!

視聴者: 最近ちょっとやりすぎじゃね?

視聴者: やってること犯罪じゃん…異世界だからOKなのか?


 シャムは猫耳を揺らし、不機嫌な表情でコメント欄を睨む。


「はぁ?なんなの、文句言ってる奴は。」


 アンチや不満を表す視聴者が多くなり、彼女の表情はあからさまに歪む。


視聴者: マネージャーとの不倫どうなった?

視聴者: 同期Vの個人情報晒した過去、むしかえされてるぞ

視聴者: 昔から問題児だってバレてるよな

視聴者: 異世界でも同じこと繰り返してるのかよ


 シャムの眉間に皺が寄り、歯を食いしばる。


「うるさい、うるさい、うるさーい!

 あんたたちなんてまとめてタイムアウトしてやる!」


 彼女は配信ツールのUIを乱暴に操作し、タイムアウトボタンを連打する。

 不満や批判を述べたアカウントが次々と黙らされるが、新たな流入者が次々と湧くため、いたちごっこのような状態になっている。


視聴者: 必死すぎw

視聴者: 図星突かれて発狂か?

視聴者: あんたのファンももう離れ始めてるよ


「黙れって言ってんでしょ!

 あたし以外のVTuberなんかいらないんだから、みーんな消えちゃえばいいのよ!」


 シャムはカメラに向かって低く唸るように言い放つ。


「いい?あたしのことを好きにならない奴は全員いなくなればいい!

 VTuberなんてあたし一人いれば十分。全部狩り尽くしてあげるわ!」


 その宣言は明確な敵意と殺意を帯びていた。

 コメント欄は炎上し、「狂ってる」「正気じゃない」「もう止まらないのか」といった言葉が踊る。


 しかしシャムは意にも介さず、手にした死神の鎌を小さく振る。

 視聴者たちは冷たい恐怖と不安に包まれる。




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