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10-4 デス・ストリングス

 マリシャスヘイターの存在感が、場を覆うように広がる。


 ルナがシャムのもとへ駆け寄る間にも、無数の糸が空間を切り裂くように漂う。


「シャムさん、お助けしますにゃ!」


「誰があんたなんかに助けてほしいって言ったのよ……!」


 シャムは顔をそむけて強がるが、その声はかすかに震えている。


 そして、ルナもまた、同接が下がって力を落としており、先ほどからマリシャスヘイターの糸攻撃をかわせずに焦っていた。


にゃん民: ルナちゃん!気をつけて

にゃん民: 糸に触れるな!服が切れてるぞ!


 コメント欄からも注意の声が飛ぶが、ルナの動きは鈍い。

 ハイオーク戦で消耗している上に、同接減少の影響でステータス補正が下がっているのだ。


「わたしのことなんて放っておいて逃げなさいよ!」


 シャムが叫ぶが、ルナは決して背を向けようとしない。


「あなたを見捨てるなんて、できませんにゃ……」


 シャムの頬が微かに震える。


「……あたしは、ただ……愛されたかっただけなのに……なのに、なんでこうなったのよ……」


シャ民党: シャム! 死なないで!

シャ民党: とにかく逃げるんだ!


「シャムさん、気づいてくださいにゃ。もうとっくに、あなたは愛されてたんですにゃ……!」


 ルナの必死の呼びかけが響く一方で、マリシャスヘイターは「ご歓談は終わりですか?」と嗤いながら糸を操る。


「では邪魔なルナさんから始末して、あとでゆっくりシャムさんを“料理”しましょうか。」


「剛糸蛮回 デス・ストリングス!」




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