マリシャスヘイターの存在感が、場を覆うように広がる。
ルナがシャムのもとへ駆け寄る間にも、無数の糸が空間を切り裂くように漂う。
「シャムさん、お助けしますにゃ!」
「誰があんたなんかに助けてほしいって言ったのよ……!」
シャムは顔をそむけて強がるが、その声はかすかに震えている。
そして、ルナもまた、同接が下がって力を落としており、先ほどからマリシャスヘイターの糸攻撃をかわせずに焦っていた。
にゃん民: ルナちゃん!気をつけて
にゃん民: 糸に触れるな!服が切れてるぞ!
コメント欄からも注意の声が飛ぶが、ルナの動きは鈍い。
ハイオーク戦で消耗している上に、同接減少の影響でステータス補正が下がっているのだ。
「わたしのことなんて放っておいて逃げなさいよ!」
シャムが叫ぶが、ルナは決して背を向けようとしない。
「あなたを見捨てるなんて、できませんにゃ……」
シャムの頬が微かに震える。
「……あたしは、ただ……愛されたかっただけなのに……なのに、なんでこうなったのよ……」
シャ民党: シャム! 死なないで!
シャ民党: とにかく逃げるんだ!
「シャムさん、気づいてくださいにゃ。もうとっくに、あなたは愛されてたんですにゃ……!」
ルナの必死の呼びかけが響く一方で、マリシャスヘイターは「ご歓談は終わりですか?」と嗤いながら糸を操る。
「では邪魔なルナさんから始末して、あとでゆっくりシャムさんを“料理”しましょうか。」
「剛糸蛮回 デス・ストリングス!」