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12-1 それぞれの戦い

 城の外では、VTuberたちが激戦を繰り広げていた。ゴブリン・オーク・ウルフらの軍勢をあらかた片付けた後、復活した魔王四天王に対して、それぞれに分かれたチームが対峙している。


 Vsingerたちの歌声によるバフが全員を後押しし、彼女たちの士気は最高潮へ。

勝利への確信が、一人ひとりの心に宿っていた。


――――――――――


■エンジョルノ vs カッパーマウス


 炎を纏うエンジョルノは、炎系攻撃を連発しながら高笑いを上げる。しかし、対する金属系VTuberカッパーマウスは火耐性アーマーを身につけており、エンジョルノの炎を完全に防ぎ切る。


カッパーマウス「カッパーパンチ、いきます!」


 炎の奔流すら通じない防御に苛立つエンジョルノを尻目に、カッパーマウスは金属のアーマー越しに拳を叩き込む。轟音とともに、エンジョルノは吹き飛ばされ、地面に沈んでいった。


カッパーマウス「炎なんて、アタイには効かないっちゅ!」


――――――――――


■ミヴァレオン vs 朧蝶ヴァリン & 綺羅髪舞武鬼


 獅子型獣人のミヴァレオンは、鋭い牙と棍棒による猛攻で周囲を威圧している。しかし、忍者系VTuberである朧蝶ヴァリンの超高速の動きが、それを翻弄する。


ヴァリン「いきますよ〜! 忍術……“朧蝕閃”!」


 影が霞のように揺らめき、ミヴァレオンがその姿を捉えきれないうちに、一閃――。


しかし、彼女の攻撃ではミヴァレオンに決定的なダメージを与えることはできないようだ。


 そこへ綺羅髪舞武鬼が追撃を重ねる。


綺羅髪舞武鬼「これで終わりよ……“鬼神無惨斬り”!」


豪快な刃がほとばしる髪のごとく閃き、彼女の“鬼神無惨斬り”が獅子の鎧を斜めに切り裂いた。


 ミヴァレオンは断末魔をあげ、その巨体を崩しながら地に伏した。


「またつまらないもの、斬っちゃった。」


――――――――――


■インプゾンビーズ vs てん・てん・てんし 率いる聖職者系VTuberチーム


 ドワーフの里を苦しめたインプゾンビーズは、不気味なまでの再生能力を誇るが、聖属性にはめっぽう弱い。


てん・てん・てんし「みなさん、唱えますよ……“セイント・ラプソディ”!」


 天使系VTuberとして人気のてん・てん・てんしを中心に、聖職者チームが一斉に聖なる光を放つ。インプゾンビーズは怯え、悲鳴をあげながら次々と消え去っていった。


「天への扉、今開かれん」


――――――――――


■マリシャスヘイター vs 砂庭しゃがむ & ばえすぽっ!の三人


 木製ピエロのような仮面をつけたマリシャスヘイターは、糸を操る攻撃で相手を絡めとろうとする。しかし、ばえすぽっ!の3人はFPS連携で間合いを取り、砂庭しゃがむが砂の海を出現させて敵の足を取る。


砂庭しゃがむ「動きを止めてからが勝負……“サンド・プリズン”!」


 砂に絡めとられたヘイターに対し、ばえすぽっ!の3人が一斉に集中砲火を浴びせる。銃声と爆音の嵐が巻き起こり、マリシャスヘイターは再生の暇もなく粉砕される。


「しゃがむちゃんにお任せ!」


――――――――――


 四天王を撃破し、VTuberたちは戦場で声を掛け合う。大きく息をつき、互いを労い合い、ようやく勝利を確信する空気が漂い始める。


 だが、その刹那――城の奥から、轟音が響いた。


視聴者: な、なんだ今の音!

視聴者: ニニギたちに何かあった?


 VTuberたちは互いに目を見交わし、身構える。  

戦いはまだ終わっていない。最後の最後で決定的な何かが動き出したのだ。


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