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第23話 案内を終えて

「来たか。早かったな」


 視線が合うと、リュドヴィックさんはお茶を飲みくつろいでいた。


「部屋を見るだけだったので。それで、リュドヴィックさん。鍛錬って……どこで?」


 私が聞くと、リュドヴィックさんが口角を上げた。


「勿論、本部の修練場だ。あそこはポーリス以上に、色々揃っているからな。それに、本部でなら、双剣使いも何人かいるから、勉強になるだろう」


 相変わらずなリュドヴィックさんに少し安堵を覚えながら、気合を入れ直す。


「は、はい! よろしくお願いします!」


 そう言うと私は自分の顔を両手で叩く。オクト君とリュドヴィックさんが顔を見合わせながら話すのが見えた。


「気合いが入っているのはいい事だが……どうした?」


「あー……多分、『男らしくなりたい』ってヤツですかね?」


「は? なんだそれは?」


 イマイチ話が飲み込めないリュドヴィックさんに、オクト君が説明してくれた。懇切丁寧にね!


 ありがたいけど、恥ずかしいな!


 ひととおり理解したらしいリュドヴィックさんは、私の方へ再度視線を向ける。


「まぁ、いずれにせよ? 少しはいい顔になってきたようだし、悪いことではないな」


 リュドヴィックさんはお茶を飲み干すとランベールさんに向かって声をかけた。


「ランベール殿、お茶感謝する。では、失礼」


 受付? から出てきたランベールさんにカップを返却すると、リュドヴィックさんがオクト君に向かって声をかける。


「オレ達は行くが、オクタヴィアン卿はどうする?」


「あ、じゃあ俺も鍛錬に参加させてもらえますか? お願いします!」


 真剣に頭を下げるオクト君にリュドヴィックさんは頷き、私達を先導して寮から修練場に連れて行くのだった。


****


「ひ、広いですね……!!」


 ポーリスの修練場は、木人形が三つ程置かれていて、奥に対人戦用のスペースがこじんまりとあっただけだったが、本部の修練場は別格だ。


 まず、広さが違う。ポーリスのがテニスコート一枚分なら、本部のはテニスコート六枚分くらいだ。

 次に、木人形の数だ。ポーリスのより十倍多い。

 そして、対人戦用スペースはテニスコート二枚分を丸々使っていた。


「圧倒されているところ悪いが、早速鍛錬を始めるぞ?」


 あ、この気配は……スパルタリュドヴィック先生だ!


「お! 早速ですね!」


 気合十分なオクト君に負けじと、私も再度気合を入れる。

 よし! やるよ! 絶対に理想のイグナートになるんだ!


 こうして、鍛錬は始まった。

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