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第66話 ゼクスvs悪魔



ミラは、真祖教の教会に囚われていた。

重々しい鉄の扉に囲まれた部屋には、教団の指導者フェレスが自慢げに言葉を並べていた。


「すべては計画通りだ。お前を生贄に捧げることで、我々は究極の力を手に入れるのだ!」

フェレスの声には確信があったが、ミラは決して諦めていなかった。冷静な瞳で彼を見据えながら、状況を分析し、彼の本性を見抜こうとしていた。


「生贄を必要とする神とは、ずいぶんと無能ですのね。」

冷ややかに言い放ったミラの声が部屋に響いた。

「ああ、そうでしたわね。生贄を欲するのは神ではなく、悪魔でしたわ。」


その言葉にフェレスの顔色が変わり、隠しきれない怒りが浮かび上がった。

「貴様、気づいていたのか?」


ミラは淡々とした表情を崩さず、肩をすくめて答えた。

「気づかれないとでも思っていたのかしら?本当にお馬鹿さんね。」


フェレスは唇を噛み締め、苛立ちながらミラに一歩近づいた。

「そんな姿では、なにもできまいが!さて、おしゃべりはこれまでだ。生贄にする前に、これについて話してもらおうか。」


彼の手には、ミラのペンダントが握られていた。



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ミラはちらりとペンダントを確認すると、静かに微笑んだ。

「そのペンダントがどうかしましたの?それを渡しなさいな。」


フェレスは一瞬驚いたが、すぐに冷笑を浮かべた。

「お前にこれを返す義理などない。これがなければ、お前は無力だ!」


ミラはフェレスを一瞥し、淡々と言い放った。

「あら、お馬鹿さん。私がこのペンダントを身につけているのは、ただのファッションですのよ。」


そう言うと、ミラは両手を大きく引っ張り、手首を拘束していた鎖を千切った。

「ば、ばかな!?ペンダントは取り上げているのに……!」


フェレスが驚愕の声を上げる中、ミラは足の拘束も同じように引きちぎり、フェレスの腕からペンダントを奪い返した。


「さて、そろそろ帰らないと夕食に間に合いませんわ。」

ミラの冷静な声に、フェレスは動揺を隠せなかった。

「貴様、一体何者だ!」


ミラは微笑みを浮かべながら、ゆっくりと答えた。

「ただの公爵令嬢に過ぎませんわ。でも、貴方たちの計画はここで終わりです。」


その瞬間、フェレスの姿が歪み、怪物へと変貌していった。

「終わるのはお前の人生だ!」



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ミラはペンダントを手に持ち、静かに呟いた。

「ゼクス、準備はいいかしら?」

「了解している。巨大化はしない。」


ペンダントは瞬時にベータスティックへと変わり、ミラの身体は銀色の光に包まれた。等身大の銀色の巨人となったミラがそこに立つ。


「き、きさまが……しろがねだと!?」

フェレスはその姿を見て絶叫した。


ミラ――いや、しろがねは、一瞬でフェレスに飛びかかり、その怪物の体を掴むと教会の天井を突き破り、空中へ飛び出した。

「ゼクシウム光線!」

冷静な声と共に放たれた光線がフェレスを直撃し、彼は断末魔の悲鳴を上げながら一瞬で消滅した。



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教会内に戻ったミラは、変身を解いて辺りを見回した。散乱する教会の残骸を見つめながら、満足そうに微笑む。


「さて、帰りましょうか。お腹が空きましたし、夕食の時間ですわ。」



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