ミラは、真祖教の教会に囚われていた。
重々しい鉄の扉に囲まれた部屋には、教団の指導者フェレスが自慢げに言葉を並べていた。
「すべては計画通りだ。お前を生贄に捧げることで、我々は究極の力を手に入れるのだ!」
フェレスの声には確信があったが、ミラは決して諦めていなかった。冷静な瞳で彼を見据えながら、状況を分析し、彼の本性を見抜こうとしていた。
「生贄を必要とする神とは、ずいぶんと無能ですのね。」
冷ややかに言い放ったミラの声が部屋に響いた。
「ああ、そうでしたわね。生贄を欲するのは神ではなく、悪魔でしたわ。」
その言葉にフェレスの顔色が変わり、隠しきれない怒りが浮かび上がった。
「貴様、気づいていたのか?」
ミラは淡々とした表情を崩さず、肩をすくめて答えた。
「気づかれないとでも思っていたのかしら?本当にお馬鹿さんね。」
フェレスは唇を噛み締め、苛立ちながらミラに一歩近づいた。
「そんな姿では、なにもできまいが!さて、おしゃべりはこれまでだ。生贄にする前に、これについて話してもらおうか。」
彼の手には、ミラのペンダントが握られていた。
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ミラはちらりとペンダントを確認すると、静かに微笑んだ。
「そのペンダントがどうかしましたの?それを渡しなさいな。」
フェレスは一瞬驚いたが、すぐに冷笑を浮かべた。
「お前にこれを返す義理などない。これがなければ、お前は無力だ!」
ミラはフェレスを一瞥し、淡々と言い放った。
「あら、お馬鹿さん。私がこのペンダントを身につけているのは、ただのファッションですのよ。」
そう言うと、ミラは両手を大きく引っ張り、手首を拘束していた鎖を千切った。
「ば、ばかな!?ペンダントは取り上げているのに……!」
フェレスが驚愕の声を上げる中、ミラは足の拘束も同じように引きちぎり、フェレスの腕からペンダントを奪い返した。
「さて、そろそろ帰らないと夕食に間に合いませんわ。」
ミラの冷静な声に、フェレスは動揺を隠せなかった。
「貴様、一体何者だ!」
ミラは微笑みを浮かべながら、ゆっくりと答えた。
「ただの公爵令嬢に過ぎませんわ。でも、貴方たちの計画はここで終わりです。」
その瞬間、フェレスの姿が歪み、怪物へと変貌していった。
「終わるのはお前の人生だ!」
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ミラはペンダントを手に持ち、静かに呟いた。
「ゼクス、準備はいいかしら?」
「了解している。巨大化はしない。」
ペンダントは瞬時にベータスティックへと変わり、ミラの身体は銀色の光に包まれた。等身大の銀色の巨人となったミラがそこに立つ。
「き、きさまが……しろがねだと!?」
フェレスはその姿を見て絶叫した。
ミラ――いや、しろがねは、一瞬でフェレスに飛びかかり、その怪物の体を掴むと教会の天井を突き破り、空中へ飛び出した。
「ゼクシウム光線!」
冷静な声と共に放たれた光線がフェレスを直撃し、彼は断末魔の悲鳴を上げながら一瞬で消滅した。
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教会内に戻ったミラは、変身を解いて辺りを見回した。散乱する教会の残骸を見つめながら、満足そうに微笑む。
「さて、帰りましょうか。お腹が空きましたし、夕食の時間ですわ。」
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