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第8話 DERBY OWNERS CLUB 2(2001年 セガ)

 皆様、ごきげんよう。

 ♪(作者名)です。


 皆様は今までで一番お金を使ったゲームを覚えていますか?

 私は覚えています。なにしろ、月に10~20万使ってましたから。


 当時の職場に、大変お世話になった佐藤さんという方がいました。

 ゲーム好きで競馬好き、私と似ている趣味なので、よく一緒に食事にも行ったりしていました。

 ある日、ゲームセンターに連れて行かれまして、そこでプレイしたのが『DERBY OWNERS CLUB 2』でした。

 断言します。クソゲーです。



 ゲームセンターの片隅にある、独特な空間。

 巨大なモニターと8人同時プレイ可能な、8台の筐体。

 しかも、結構な待ち行列になっており、人気のほどが伺えます。


 1レースは約5分ほどで200円、500円だと3レース遊べて、少しお得な感じです。

 競走馬は自分で作成するのですが、競走馬のデータを保存したカードが出てきます。このカードをカードリーダーに入れることで継続して育成ができるという訳です。

 プレイの上手さとは関係なく、1レースしか遊べないので、料金の回収率が非常に高いゲームとなっています。セガ、考えたな!


 これ、結構恐ろしくて、ぶっ続けでゲームをすると、1時間で2000円。数時間遊んだだけで結構えらいことになるんですよ。

 当時、ゲーセンに行くたび、5000円札を両替してました。

 あ~、あの頃に戻って、私の頭を殴ってやりたい。



 そんな感じで、ありえないほどの額を課金していた私ですが、実際のゲーム成績は芳しくありませんでした。

 このゲーム、競走馬を引退させると、その子どもを作成できるようになります。

 こうして代を重ねるとどんどん強くなる仕組みがあります。


 よって、長年プレイをしている人にはどうやっても勝てません。

 さらに、私が通っていたゲーセンには古参グループがおりまして、ほぼ独占状態だったのです。

 しかも、彼らはあまりマナーが良くなく、あまりいい印象がありませんでした。


 このグループは最年長の30代の男性を中心に、社会人、大学生など10人ほどで構成されていました。

 リーダーと思われる30代の男性は髪が薄かったので、私たちは『若禿軍団』と勝手に呼んでいました。



 『若禿軍団討伐戦』に苦戦する私に対し、佐藤さんは思いがけない手をうちました。

 ヤフオクで代重ねした競争馬カードを購入したのです。

 本当かどうか分かりませんが、60代くらい重ねたとか。ほんまかいな。


 半信半疑な私でしたが、佐藤さんは私にも一頭だけ仔馬を作ってくれました。

 馬の強さはランダム要素もあるようで、なんとこの馬が大当たりだったようです。

 何頭か生産した中で、圧倒的に強かったのです。


 この日から、ゲーセンの勢力図は一気に変わりました。

 私の馬が『若禿軍団』に連勝し始めたのです。

 いい気分でゲームをしていた私でしたが、この数日後に事件が起こります。



 あれっ、最近『若禿軍団』見ないなあと思っていたのですが、どうやら彼らは警察に捕まり、出入禁止にもなったとのこと。

 容疑は『器物破損』です。

 具体的には、レース後にレース結果をカードに上書き保存するのですが、その前にカードを無理やり引き抜き、別のカードと差し替えることで競走馬データを複製していたとのこと。

 カードリーダーは簡単に引き抜けないようになっており、無理やり引き抜くため、カードに引き抜き用のツマミを取り付けていました。この行為はカードリーダーを破損させる恐れがあるため、『器物破損』とみなされたとのこと。


 『若禿軍団』逮捕のニュースはネットでも出回り、彼らに苦渋を舐めていたプレイヤーも戻ってきました。

 フェアプレイができるっていいですね。



 このゲーム、こうした不正対策が全くできておりませんでした。

 しかも、後で知った話ですが、カードに書かれた情報は暗号化されていなかったらしく、書き込み装置さえあれば最強データを簡単に作れたとのこと。

 全パラメータがMAXのカードは使用できなくなったらしいのですが、代重ねで作成できる最強データに偽装した場合は不正を見抜くことができなかったようです。

 思えば、ヤフオクで販売されたカードも、こうして作られた可能性があるのです。

 ヤフオクの商品説明には、『**代重ねています』と書かれていましたが、何代重ねたかなんていちいち覚えていないでしょ。


 このゲームに限らず、カードを使うゲームは、こういう問題が結構あるようです。



 えっ、課金額?

 100万超えてますね、たぶん。

 さ、佐藤さああ~ん!

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