目を覚ますと空?を見つめていた。
周りの空気は澄んでいて、綺麗な新緑が辺りを包んでいる。
ここは何処なんだろう?
ここがどこで、どうしてここにいるのかもわからない。
思い出そうとするが、何も思い出せない。
そうしていると、近くに居た誰かが近づいてくる。
黒髪に黒い瞳の体格の良いわけでも悪いわけでもない男の人が近づいていくる。
「……誰?」
絞り出すように声を上げると彼は目を細める。
「人に名前を尋ねる時は自分から名乗るのが筋だろ」
その声は酷く冷たくまるで氷のようだったが、自然と怖くない。
私の名前、私の名前……あれ?
何だっけ?
自分の名前が思い出せない。
「名乗らない気か?」
私は首をフルフル横に振り「わかんない」と否定する。
彼は意味が分からないと言った感じで「……は?」っと答える彼に人差し指で彼を指差し「……誰?」っと問いかける。
「そういうのいいから」
「(名前が)本当に、わかんないの!!」
説明しようにもどう説明していいかわからないからそう叫び視界が歪むと、頬に涙が伝う感覚がした。
「もう一回聞くよ、答えなかったら斬る」
「本当にわかんない!!」
剣を突き付けられ私は必死に答えると、「そうか」といって剣を振るおうとすると、ビビるように目を閉じると空を切る音が目の前を通り過ぎる。
私は少しして目をあけると「意地悪して悪かった、立てるか?」と手を差し出すが、流石に怖くて腰が抜けてしまって立てないので首を横に振る。
「そこで休んでろ」
そういう彼は先程とは違い、優し気な表情をしていた。
少しして落ち着き立ち上がれるようになり、彼に声を掛けようとすると奥から何かが飛び出してくる。
「クソが、いてぇじゃねえか」
胸をさすりながら狂気じみた声で男はそう言い放った。
この人、何かやだ。
直感的にそう感じた。
なんというか胸の奥から嫌悪感が私の全身を駆け巡った。
「さっきは油断したが、今度はそうはいかねぇ!!」
こちらに目もくれることなく、突っ込み金切り音が鳴り響く。
「どうした、受けるので精一杯か!? あぁ!?」
防戦一方?
そうは見えない、まるで彼の件は相手を見ているようだ。
そしてそのまま合間をぬって相手の身体を削っていく。
「いってぇな!!」
そう言いながらも狂気的に笑い血飛沫を上げながらも剣を振っている。
「鬱陶しいな」
そう呟き相手はいやらしく笑い、激しい剣戟が鳴り響く。
「……ちぃ!!」
少し踏み込みの合間を縫って斬撃が彼の胸を切り裂く。
「勝負ありかぁ!?」
そう言って相手はやっと入った斬撃にニヤリと笑う。
「調子に乗るな」
彼は仕返しの剣を入れ、距離を取る。
相手は傷など関係ないかのごとく突っ込んでくる。
「あめえよ、そんなの」
そう言って再び剣戟に持ち込もうとする彼の脚が急に止まる。
「こりゃいいや、大物だぁ~」
彼の視線の先には銀髪の氷のような冷えた眼差しで見ている男が居た。
この人、知ってる?
それを見た瞬間、狩りの対象が僕から銀髪の男に向いた。
「あ? お前誰に向かって口きいてんの? 幹部になって調子乗ってんのか?」
視線を向けることなく、「小僧、その女の子を連れて去れ」そう言うと、彼は私をを抱え走り出し、その場を後にするのだった。