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第14話 Aランクとかマジ神! 王子様と謁見とかウケる!

「きゃー! やっぱ、このドレス、ちょー可愛い!」


あたし、ゆきぽよは、泊まっている宿屋『陽だまり亭』の自室で、昨日あの謎のイケメン(王子様疑惑)に買ってもらった大量の服を広げて、一人ファッションショーを開催していた。

ピンクのフリフリドレス、水色の清楚系ワンピ、黒のちょっと大人っぽいドレス…。

どれもこれも、マジで可愛すぎて、テンション上がりまくり!


「まあ! ゆきぽよちゃん、とっても綺麗だよ!」


部屋を覗きに来た宿屋のおばちゃんも、あたしのドレス姿を見て、目を細めて褒めてくれた。

えへへ、でしょー?


王都に来てから、まだ数日だけど、可愛い服ゲットできたし、今のところマジ最高!

昨日の縦ロール貴族の件とか、スリのこととか、ちょっとウザいこともあったけど、まあ、ウチにかかれば瞬殺だし、問題ナシっしょ。


翌日。

せっかく王都に来たんだし、こっちの冒険者ギルドも覗いてみようかなーと思って、街に出てみた。

そしたらさ、なんか、昨日よりさらにあたしへの注目度が高まってる気がするんですけど!

道行く人が、めっちゃチラチラ見てくるし、ヒソヒソ話してるのが聞こえる。


「おい、あれが噂の…」

「ダーククリスタルを破壊したっていうBランクの…」

「いや、もうすぐAランクに上がるらしいぞ!」

「昨日、リリアーナで侯爵令嬢を追い払ったって本当か?」

「なんか、お忍びの王族の方とも親しいとか…」


うわー、噂、広まるの早すぎ!

てか、尾ひれ付きすぎじゃね!?

王族と親しいとか、まだ全然そんなんじゃないし!


まあ、別にいーけど。

あたしは、そんな視線をスルーして、王都の冒険者ギルドに到着。

さすが王都! デカい!

あたしがいた街のギルドの、倍くらいあるんじゃない?

中も広くて、人もいっぱい。

依頼ボードも、なんかハイテクな感じのやつ(魔道具?)が設置されてる。


「へー、すごーい」


キョロキョロしながら依頼を見てみる。

さすが王都だけあって、Aランクとか、さらに上のSランクとかのヤバそうな依頼も普通に貼ってある。

「古代遺跡の探索」とか「グリフォン討伐」とか、ちょっと面白そうかも。

でも、なんか「〇〇伯爵家からの極秘依頼」とか「王宮からの内密調査」みたいな、貴族絡みの面倒くさそうな依頼も多いなー。

パスパス。


あたしが依頼ボードを眺めていると、受付カウンターから声がかかった。

王都ギルドの受付嬢さんだ。

美人だけど、エリアナさんよりちょっとキツそうな感じ。


「あなたが、ゆきぽよさんですね? お待ちしておりました」


「え? ウチのこと知ってんの?」


「ええ。先日、街を救われた英雄殿のことは、ギルド内で知らない者はいませんよ。…それと、先ほど、あなたが所属されている支部から、通信魔法で連絡がありました」


「通信魔法? エリアナさんから?」


「はい。Aランクへの昇格について、正式な手続きの日程が決まったとのことです。…驚かないでくださいね。近日中に、王城にて簡単な叙任式が行われるそうです」


「………はぁ!? 王城!?」


マジで!?

なんでギルドのランクアップごときで、王城に行かなきゃなんないわけ!?

めんどくさすぎ!


「えー、パスできないの? それ」


「パス!? とんでもない! これは大変名誉なことですよ! Aランク冒険者の叙任式が王城で行われるのは、特別な功績を認められた者だけです! しかも、当日は国王陛下、あるいは王太子殿下が臨席される可能性も…」


「王太子…? それって、王子様的な?」


もしかして…。

あの、イケメンドレス買ってくれた人?


「…だとしたら、ちょっとだけ、行ってもいいかも…」


「え?」


「いや、なんでもない! わかったよ、行く行く! いつ?」


あたしは、現金にも、あのイケメン王子(仮)にまた会えるかもしれないという期待で、面倒な叙任式への出席をあっさり承諾したのだった。


そして、叙任式当日。

あたしは、買ってもらったドレスの中から、一番マシというか、一番場違いじゃなさそうな水色の清楚系ワンピを選んで着てみた。

髪も、サイドで軽くアップにして、ちょっとだけ大人しめギャルを演出。

これで、大丈夫っしょ?


案内された王城は、もう、想像以上にデカくて、キラキラしてて、ヤバかった!

衛兵さんたちの鎧もピカピカだし、廊下も絨毯敷きだし、壁にはデカい絵画とか飾ってあるし!

マジでお城じゃん! 住みたい!


「こ、こちらへどうぞ…」


緊張気味の侍従の人に案内されて、あたしは巨大な扉の前に立った。

謁見の間、ってやつらしい。


ドキドキしながら扉が開かれると、そこは、天井がめちゃくちゃ高くて、だだっ広い空間だった。

奥には、豪華な玉座があって、そこには威厳たっぷりな感じの、白い髭のおじいさん(国王陛下?)が座ってる。

その隣には…。


「!」


いた!

あの時の、イケメン青年!

今日は、なんかキラキラした王子様みたいな服着てる!

やっぱ、王子様だったんじゃん!


あたしに気づいた王子様(仮)が、こっちを見て、小さく微笑んだ気がした。

うっわ、マジで顔面偏差値、高すぎ…。


「冒険者、ゆきぽよ。前へ」


なんか偉そうな人に促されて、あたしは玉座の前まで進み出る。

めっちゃ注目されてるんですけど!

貴族っぽい人たちがいっぱいいるし!

緊張するわー!


「…この度、街を魔物の脅威から救った功績、誠に見事であった」


国王陛下(たぶん)が、厳かな声で話し始めた。

なんか、ダーククリスタル破壊の功績を、めっちゃ褒められた。

よく分かんなかったけど、とりあえず「あざっす」って感じで頷いといた。


「よって、本日をもって、汝をAランク冒険者として正式に任命する! 今後も、王国の平和のために、その力を役立てることを期待する!」


「はーい! がんばりまーす!」


あたしが、いつも通りのノリで返事をすると、周りの貴族たちが、ちょっとザワついた。

え、なんかマズかった?

まあ、いっか。


厳かな雰囲気(あたし以外は)の叙任式は、なんとか無事に終了した。

ふぅ、疲れたー。

早く帰って、ふかふかベッドで寝たい。


あたしが、そそくさと退出しようとすると、後ろから声がかかった。


「お待ちください、ゆきぽよ嬢」


振り返ると、そこには、さっきの王子様(仮)が立っていた。

近くで見ると、さらにイケメン度が増してるんですけど!


「改めて、Aランク昇格おめでとうございます」


王子様(仮)は、優雅にお辞儀をする。


「あ、ども」


「先日は、私の無礼を許し、楽しいひとときを過ごさせていただき、感謝しています」


「いや、こっちこそ、服ありがとね! マジ助かった!」


「ふふ。…もし、お時間が許すようでしたら、少し、お話ししませんか? あなたのこと、もっと知りたいと思いまして」


王子様(仮)が、キラキラした瞳であたしを見つめてくる。

え、これって、デートのお誘い的なやつ!?

異世界で王子様とデートとか、マジ少女漫画展開じゃん!


「えー、まあ、いいけど。暇だし」


あたしは、ちょっとドキドキしながらも、OKした。

だって、イケメンだし! 王子様だし! 断る理由なくね?


「では、こちらへどうぞ」


王子様(仮)にエスコートされて、あたしは王城の奥へと案内されることになった。

これから、何が起こるんだろ?

ちょっとだけ、楽しみかも!

まあ、面倒なことになったら、また力技で解決すればいっか!

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