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第22話 作戦会議とかマジわかんねー! けど祭りっしょ!

王子の隠れ家で行われている、超本格的な作戦会議。

騎士団長っぽいゴツいおじさんとか、クールビューティーな諜報員のお姉さんとかが、難しい顔して地図とか睨んでる中、ゆきぽよはソファに座って呑気に尋ねた。


あたしの問いに、アルフォンス王子が真剣な表情で答える。


「『蛇の目』の狙いは、おそらく建国記念祭最終日の王宮広場での式典、あるいはその後の夜会でしょう。大規模な魔法によるテロか、あるいは父上…国王陛下や私、他の王族を狙った暗殺の可能性が高いと考えています」


「うわ、マジでヤバいやつじゃん…」


さすがに、ちょっと事の重大さを理解してきた。


「そこで、ゆきぽよさんには…」


アルは、地図上の一点を指さした。

王宮広場と、王宮そのものだ。


「式典当日、及び夜会において、現場に待機していただきたいのです。騎士団や衛兵も最大限の警備を敷きますが、相手は『蛇の目』。通常の警備を突破してくる可能性は十分にあります。もし、敵の主力…特に、ファングのような幹部クラスの戦闘員が現れた場合、これを迎撃し、無力化していただきたい」


「なるほどねー」


ゆきぽよはポンと手を打った。


「要するに、ヤバい奴が出てきたら、ウチがボコればいいってことね? シンプルでいーじゃん!」


「…まあ、大筋では、そうなりますね」


アルは、苦笑いを浮かべる。

周りの側近たちは、「この娘、本当に大丈夫なのか…?」みたいな顔してるけど、気にしなーい。


「でもさー、敵のボスとか、どこに出てくるか分かんないんでしょ? ずっと待ってんの、ダルいんだけど」


「そこは、我々諜報部隊が全力で敵の動きを探ります」


クールなお姉さん(諜報員らしい)が、キリッと言った。

なんか、仕事できそう。


「あとさー、夜会って、やっぱドレスとか着なきゃダメなわけ? めんどくさ」


「ええ、王宮の夜会ですから、正装は必須です。ですが、その点はご心配なく。こちらで特別なものを用意させます」


アルが、意味深に微笑む。

特別なドレス? ちょっと気になるかも。


作戦の概要が決まり、決行日である建国記念祭最終日まで、あと数日となった。

アルや側近たちは、計画の詳細を詰めたり、情報収集したり、めっちゃ忙しそう。

捕らえたファング(あの蛇野郎の少年)の尋問もしてるみたいだけど、なかなか口を割らないらしい。

根性あるじゃん、あいつ。


一方、あたしはというと…。


「はー、暇すぎ…」


特に、やることがない。

アルには「念のため」とか言って、王宮での貴族のいなし方講座みたいなのを開かれたけど、正直、右から左へ聞き流してた。

だって、ウザい奴は、身分とか関係なく、メンチ切るか、吹っ飛ばせばよくない?


仕方ないから、街に出て、祭りの雰囲気を楽しむことにした。

王都は、建国記念祭の真っ最中で、めっちゃ盛り上がってる!

色とりどりの飾りが街中にあって、屋台もいっぱい出てる!


「うわー! この串焼き、ウマ!」

「こっちのリンゴ飴もヤバい!」


アルに貰ったお小遣い(報酬の前借り的な?)で、屋台のB級グルメ(異世界版)を食べ歩き!

昨日買ってもらった可愛い服着て、街をぶらぶらするの、マジ最高!

このまま、ずっと祭りならいいのにー。


でも、そんな華やかな雰囲気の裏では、やっぱり不穏な動きもあるみたい。

時々、アルから通信が入って、「昨夜、武器庫に侵入しようとした者がいた」とか、「怪しい魔道具の取引情報があった」とか、物騒な報告が来る。

諜報員のお姉さんたちが、頑張って情報を追ってるらしい。

やっぱ、最終日の式典が本命っぽいな。


そして、いよいよ決戦前夜。

あたしは、再びアルの隠れ家に呼び出された。

最終確認ってやつだ。


「準備は万全です。明日は、必ずや『蛇の目』の計画を阻止し、王国を守り抜きましょう」


アルが、力強く宣言する。

側近たちも、緊張した面持ちで頷いている。


「ゆきぽよさん。あなたの力なくして、この作戦は成り立ちません。明日は…どうか、よろしくお願いします」


アルが、あたしの手を両手で握って、真剣な目で見つめてくる。

うっ…! 顔がいい!


「ま、任せとけって! ウチがいれば、百人力…いや、一億人力だし!」


あたしは、胸をドンと叩いて、自信満々に答えた。

(本当は、ちょっとだけドキドキしてるけど、ナイショ)


「そうだ、ゆきぽよさん。夜会用のドレスですが、こちらを」


アルが、従者に合図すると、大きな箱が運ばれてきた。

中に入っていたのは…。


「うわっ! なにこれ、カッケ―!」


漆黒の、マーメイドラインのドレス!

見た目は超エレガントなんだけど、よく見ると、生地に銀色の糸で複雑な模様が織り込まれてて、なんか、ただのドレスじゃないオーラが出てる!


「これは、王家に伝わる特殊な魔法繊維で織られたドレスです。見た目以上に動きやすく、並大抵の攻撃なら防ぐ防御効果も付与されています。あなたのために、仕立て直させました」


「マジで!? 防具付きドレス!? 最強じゃん!」


テンション上がるー!

これなら、夜会で暴れても大丈夫そう!(暴れる前提)


あたしは、その漆黒のドレスを受け取って、ご機嫌で隠れ家を後にした。


いよいよ、明日が決戦の日。

建国記念祭の最終日。

王都は、きっと、今日以上に盛り上がるんだろうな。

そんなお祭りの裏で、テロとか暗殺とか企んでる奴らがいるなんて、マジで許せない。


あたしがやることは、一つだけ。

ヤバい奴が出てきたら、全員、ぶっ飛ばす!

それだけっしょ!


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