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第26話 英雄とかスイーツとか! 次の街行くっしょ!

建国記念祭のドタバタから数日。

王都は、あの日の騒ぎが嘘みたいに、少しずつ落ち着きを取り戻していた。

まあ、壊れた建物の修理とか、広場の後片付けとかで、街のあちこちはまだ工事中って感じだけど。


そして、ウチ、愛内ゆきぽよはというと…。

なんか、めっちゃ「英雄様」扱いされるようになっちゃった!

街を歩けば、「あ、ゆきぽよ様だ!」「ありがとう!」とか声かけられるし、お店に入ればサービスしてくれるし。

正直、ちょっとウザい…いや、照れるっていうか、まあ、悪い気はしないけどね!


約束の報酬、金貨500枚も、アル(アルフォンス王子)からしっかりゲット!

マジで、一生遊んで暮らせるレベルの大金!

テンション上がる!


とりあえず、大きな事件も一段落したっぽいし、しばらくは王都でのんびりしよーかなーって思ってた。

宿屋『陽だまり亭』でゴロゴロしたり、前に買ってもらった可愛い服を着てウィンドウショッピングしたり。


そうそう、アルとの約束、スイーツ全奢りもちゃんと実行してもらってる!

週に何回か、アルがお忍び(のつもりらしいけど、オーラでバレバレ)で会いに来てくれて、王都で一番美味しいって評判のカフェとかに連れてってくれるんだよね。


「んー! やっぱ、ここのイチゴパフェ、神!」


今日も今日とて、ウチは豪華なパフェを堪能していた。

目の前では、アルが優雅に紅茶を飲んでいる。


「ふふ、気に入っていただけて何よりです。ゆきぽよさんは、本当に美味しそうに召し上がりますね」


アルが、なんか優しい目でこっちを見てる。

うっ…! イケメンの微笑み、マジで心臓に悪い!


最初は、王子様とか堅苦しくてダルいなーって思ってたけど、こうやって二人で話してると、アルって意外と話しやすいし、ウチのギャル語とかにも(若干引きつつも)ちゃんと付き合ってくれるし。

まあ、イケメンで、金持ちで、国のことちゃんと考えてる王子様とか、普通にハイスペックすぎ。

ちょっとだけ、見直しちゃったかも?


「それで、例の『蛇の目』ってのは、どうなったわけ?」


パフェを食べ終わって、一息つきながら聞いてみる。


アルは、少し表情を引き締めて答えた。


「ええ。あなたから預かった帳簿や、捕らえたファング…あの若い幹部の尋問(残念ながら、まだ口は堅いようですが)、そして我々の調査によって、組織の輪郭が少しずつ見えてきました」


どうやら、「蛇の目」は王国全土に根を張るかなりデカい組織で、色んな犯罪に手を染めてるらしい。

マルティン侯爵みたいな、私腹を肥やすために組織と手を組んでる貴族も、他にも何人かいるっぽい。

ちなみに、マルティン侯爵は、ウチが見つけた帳簿が決定的な証拠になって、速攻で逮捕。

爵位も財産も全部没収されて、あの縦ロール娘も一緒に没落したんだって。

ザマァ!


「それで、次の計画とか、分かったの?」


「いえ、具体的な計画までは…。しかし、彼らが諦めていないことだけは確かです。特に、あの黒ローブの男…おそらく組織の首魁か、それに近い存在でしょう。彼の行方は、依然として掴めていません」


アルの顔に、わずかに影が差す。

やっぱ、あの黒ローブ、相当ヤバい奴なんだな。

ウチも、次は負けないように、もっと強くならないと! (どうやって?)


「実は…ゆきぽよさん」


アルが、改まった口調で続ける。


「あなたに、またお願いしたいことがあるのです」


「えー、また面倒なやつ?」


ウチは、あからさまに嫌な顔をする。

せっかく平和な日常(?)を満喫してたのに。


「申し訳ありません。ですが、これも『蛇の目』を完全に叩くために、必要なことなのです。…組織の重要な拠点の一つが、隣の領地にある『港町リベルタ』にある可能性が高いことが判明しました」


「みなとまち?」


「ええ。活気のある商業都市ですが、同時に裏社会の人間も多く出入りする場所です。そこに潜入し、拠点の場所を特定し、可能であれば…無力化していただきたい」


「うーん…」


潜入、拠点特定、無力化…。

また、ドンパチやらかすことになりそうじゃん。


「もちろん、報酬は…」


「金貨1000枚!」


ウチは、アルの言葉を遮って、ふっかけてみた。


「…! せ、承知しました! 金貨1000枚、お支払いしましょう!」


アル、即答! よっしゃ!


「しょーがないなー。アルがそこまで言うなら、行ってやるか!」


結局、金に釣られて(あと、アルのお願いだし)、ウチは次のミッションを引き受けることにしたのだった。


数日後。

ウチは、港町リベルタへ旅立つ準備をしていた。

ゴルドーさんには「また無茶しやがって…死ぬんじゃねえぞ!」って心配されたし、元の街のエリアナさんにも通信魔法で「ゆきぽよさんなら大丈夫だと信じていますが、どうかご無事で!」って言われた。

みんな、心配性だなー。


王都の門まで、アルが見送りに来てくれた。


「必ず、無事に帰ってきてくださいね、ゆきぽよさん。私は、ここであなたの帰りを待っています」


アルが、なんか少女漫画のヒロインみたいなセリフを言う。


「はいはい。大丈夫だって! ウチなら余裕っしょ! それより、お土産、期待してていーよ!」


ウチは、ひらひらと手を振って、威勢よく歩き出した。


王都での活躍を経て、ウチはAランク冒険者になり、大金持ちになり、なんか英雄扱いまでされるようになっちゃった。

でも、やることは変わんない!

邪魔するヤツはぶっ飛ばして、欲しいものは手に入れて、美味しいものは食べ尽くす!

それが、ギャル道ってもんよ! (?)


目指すは、港町リベルタ!

どんなヤバい奴らが待ち構えてるか分かんないけど、まあ、なんとかなるっしょ!

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