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第28話 港の倉庫で大暴れ! ボスとか余裕っしょ!

深夜の第7埠頭。

月明かりが、古びた倉庫群をぼんやりと照らしてる。

潮風がヒューヒュー吹いてて、なんか、ホラー映画に出てきそうな雰囲気。

でも、ウチ、愛内ゆきぽよには、そんなの関係ナシ!

だって、これから、悪党のアジトに殴り込み(潜入だけど)なんだもんね!


「さて、どっからお邪魔しよっかなー?」


情報屋の兄ちゃんに教えてもらった、一番デカくて怪しい倉庫。

周りには、黒装束の見張りがウロウロしてる。

数は…10人くらい?

まあ、雑魚っしょ。


ウチは、物陰に隠れて、見張りの動きを観察。

そして、巡回の隙をついて、一気に倉庫の壁際までダッシュ!

音もなく、風のように!

(自分で言うのもなんだけど、最近、気配消すの、上手くなった気がする)


目標の倉庫の扉は、やっぱ厳重にロックされてる。

でも、そんなの、ウチの『身体強化 極』の前では、意味ないんだけどね!


ドアノブを掴んで、グッと力を込める。

ミシミシ…バキン!

はい、開いたー。


「おじゃましまーす(小声)」


倉庫の中は、思ったより広くて、薄暗い。

木の箱とか、麻袋とかが、天井まで高く積み上げられてる。

なんか、カビ臭いし、魚臭いし、色んな匂いが混じってて、鼻が曲がりそう。


奥の方から、何人かの話し声と、荷物を運ぶ物音が聞こえてくる。

やってるねー、悪いこと。


ウチは、荷物の影に隠れながら、音のする方へ進んでいく。

途中、見張りの黒装束と何回か遭遇したけど。


「誰だ!」

「侵入者だ!捕まえろ!」


とか騒がれる前に、背後から近づいて、首筋にトンッ! で、おやすみタイム。

マジで、楽勝すぎるんですけど。

こいつら、本当に『蛇の目』の奴ら?

弱すぎじゃね?


気絶させた下っ端の一人を、ちょっと強めに揺り起こす。


「んがっ!?」


「ねーねー、ちょっと聞きたいんだけどー。ここ、何してんの? あんたらのボス、どこにいんの?」


ウチが、ニッコリ(黒いオーラ付きで)微笑みかけると、下っ端は顔面蒼白。


「ひ、ひぃぃ! 知りません! 何も知りません!」


「あーん? しらばっくれるとか、いい度胸じゃん? ちょっと痛い目見たい感じ?」


拳をポキポキ鳴らしてやると、下っ端はブルブル震えながら、ペラペラと白状し始めた。


どうやら、この倉庫は、『蛇の目』の密輸品の集積所で、奥の事務所に、ここの責任者がいるらしい。

ふーん。やっぱりね。


「サンキュ! じゃ、おやすみー」


もう一回、首筋にトンッ! で、下っ端を夢の世界へ送ってあげる。

優しいウチ。


教えられた通り、倉庫の奥にある事務所へ。

途中にも、何人か見張りがいたけど、全部まとめて瞬殺。

そして、事務所の扉の前に到着。

ここが、ここのボスの部屋ってわけね。


ノック? するわけないじゃん。

ウチは、思いっきり扉を蹴破った!


バコォォォン!!


「おら、出てこいや、ボス野郎!」


派手に登場してやると、事務所の中は一瞬、シーンとなった。

中には、帳簿みたいなのをつけてた、悪党面のオッサンと、その周りに護衛っぽいのが数人。

オッサン、海賊の船長みたいな格好してる。

いかにも、港町の悪党って感じ。


「な、何者だ、貴様は!?」


オッサン…いや、ここの支部長(仮名:キャプテン・スネークアイ)が、驚きと怒りで顔を真っ赤にして叫ぶ。


「ウチ? ただの通りすがりの、ちょー強いギャルだけど? あんたが、ここの『蛇の目』のボス?」


「なっ…蛇の目だと!? き、貴様、どこからその名を…!」


キャプテン・スネークアイ、めっちゃ動揺してるじゃん。

図星ってことね。


「まあ、どーでもいーや。とりあえず、大人しく捕まってくんない? 面倒だから」


「ふざけるな! このドブネズミが! ここをどこだと思っている!」


キャプテン・スネークアイが叫ぶと、周りの護衛たちが、一斉に武器を構えて襲いかかってきた!

斧とか、曲刀とか、あと、なんか銛みたいなのもいるし!

港町バラエティ豊かすぎ!


「はいはい、雑魚は引っ込んでてー」


ウチは、向かってくる護衛たちを、一人ずつ、丁寧に(?)無力化していく。

斧はへし折り、曲刀は叩き落とし、銛は掴んで逆にお見舞いしてやる!

あっという間に、護衛たちは全員、床に伸びた。


「ひ、ひぃ…!」


キャプテン・スネークアイ、部下が瞬殺されたのを見て、完全にビビってる。


「さてと。じゃあ、あんたも、おねんねの時間ね」


ウチが、ニヤリと笑って近づくと、キャプテン・スネークアイは、ヤケクソになったのか、腰に差していた錆びたカットラスを抜き放った!


「こ、こうなったら、道連れだぁ!」


おー、まだ戦う気あるんだ。

感心感心。

でも、無駄だけどね。


キャプテン・スネークアイの、素人丸出しの剣筋を、軽くいなして、カウンターで鳩尾に強烈な一撃!


「ぐぼっ!?」


キャプテン・スネークアイは、カエルが潰れたみたいな声を上げて、その場に崩れ落ちた。

はい、終了。


「ふぅー。思ったより、歯ごたえなかったなー」


事務所の中を見回すと、机の上には、やっぱり帳簿とか、手紙の束とかが散乱してる。

パラパラっと中身を見てみると…おお!

密輸品のリストとか、取引相手の名前とか、なんか「上」との連絡っぽい手紙とか、ヤバそうな情報がいっぱい!

これは、アルも喜ぶんじゃない?


「証拠もゲットしたし、あとは…」


ウチは、倉庫の中を見回した。

積み上げられた怪しい荷物。

武器とか、禁制品とか、そういうのが多いみたい。

中には、空っぽだけど、明らかに人を閉じ込めてたような、頑丈な檻もいくつかあった。

やっぱ、人身売買もやってたんだな、こいつら。マジで胸糞悪い。


「こういうのは、燃やしとくのが一番っしょ!」


ウチは、近くにあった松明(なんでこんなとこに?)に火をつけて、燃えやすそうな荷物(危険物じゃなさそうなやつ)に、ポイっと投げ込んだ!


メラメラ!


あっという間に、火の手が上がる!


「おっと、やりすぎた?」


まあ、いっか!

どうせ、悪党のアジトだし!

ついでに、壁に「ギャル参上! 蛇の目、マジ卍!」って、派手に落書きしといた。

アルには怒られそうだけど、ウチのサインってことで!


火が燃え広がる前に、ウチは倉庫から脱出!

夜明け前の、薄紫色の空が広がってる。


「ふぅ、朝飯前に、いい運動になったわ!」


港には、もう漁師の人たちとかが出始めてる。

ウチは、何食わぬ顔で、その人たちに紛れて、埠頭を後にした。


手に入れた証拠と、今回の騒動。

これをアルに報告したら、どんな顔するかな?

そして、蛇野郎どもは、どこまで追い詰められるかな?


リベルタでの戦いは、まだ始まったばかりかもしれないけど。

とりあえず、今は腹ごしらえだ!

港町なら、美味しい朝ごはん、いっぱいあるっしょ!

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