目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報

3章

幕間

 それからのことは、あまりいい出来事はなかったと思う。

 ニュースで聞く単語はネガティブな言葉ばかりで、一家心中、放火、強盗、殺人――戦々恐々と、終焉は実体を伴って迫ってきた。

 私たちに残された時間は、あとわずかだ。

 そして私たちのような一般人は、ただ指をくわえて、ぼうっと見ていることしかできない。混乱の余波は止まることを知らなかった。警察が機能しなくなった県があり、どこかの国では国家転覆のようなことが起きたとも聞く。

 小惑星はまだ地球に落ちていないのに、もう地球に小惑星が落下したかのように感じられた。

 SNSでは、不謹慎ながら予言者を名乗るアカウントがこうつぶやいていた。

 『恐怖の大王がやってくる』

 その予言者が本物ではない証明は容易かった。

 スピリチュアルなアイコンに星空のヘッダー、自己紹介欄には長文で支離滅裂な言葉が並び、最後には怪しいドメインのURL。そして、ここ十年ほど毎日、『恐怖の大王が来る』と言い続けていた。

 そんな当てずっぽうのアカウントだったのに、そのポストは恐ろしく早く拡散された。


この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?