服を探しに街に降りると遠くで人の叫び声が聞こえた。
中村くんに引っ張られて逃走する。
丘の上から炎上するビルが、ゆっくりと火の粉を散らしながら倒壊していく様子を見ることができた。人の狂気、絶叫、絶命がどよめいている。
その夜、気がまぎれる事はないかと二人で話し合って、久しぶりにスマートフォンを起動した。二つ、通知がきていた。
一つは半年前に先輩から住所だけが送られており、もう一つは四日前に斎藤楓という男から住所と会いたいという旨のメッセージだった。
「なあ」中村くんがポイ捨てしたような声を漏らす。
「りんと陸、どっかで見てるかな」
「きっと見ているよ」
中村くんと話し合い、二人で、先輩の方に行ってから斎藤楓に会ってみようとなった。
丘の上から見る星空が綺麗だった。
私は中村くんに手を伸ばしてもらって、それを下から撮影した。