私は次に、会社員の男性を説得した。
彼は白いシャツが血に濡れており、精神的に不安定そうだった。
「今日の調子はどうですか?」
私が尋ねると、会社員の男性が答える。
「……胃袋がねじ曲がった感覚がある。随分ひどい」
「ご飯、置いておきます。食べやすいものを選んでおきました」
私は温かいスープを差し出す。
「熱湯……電気があるのか?」
私は頷く。
「このショッピングモール、屋上にソーラーパネルが備え付けられていたんです」
男性の耳がぴくりと揺れる。
「本当か?」
男性は前かがみになって尋ねてくる。
「はい」
男性はとりあえず、私が差し出したスープを奪うように受け取ると、ごくりと飲んだ。
そして、お腹が減っていたのか、何度もスープを口に運び、いつの間にか男性の顔には、消えかけていた生気が少しずつ戻ってきた気がした。
「ありがとう。すまない。不甲斐ないところを見せてしまったね」
男性は最終的に立ち上がってくれた。「長谷川さん」という名前だと教えてくれる。
長谷川さんは、主に私と村雨くんのどちらとも、友人として関係を築いていった。
私はその日から、日記のように写真撮影を始める。