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50 1500/2003

 二ヶ月が経過した。写真というのを、ある程度は理解した気がする。

 そして僕の写真の好みも次第に見えて来た。

 僕は薄暗くじめじめした寒色な風景を好んでいるようだ。

 どういう理屈か分からないけど、僕の心はこういう人気のない心理的な安全を感じる場所が好みである。そこまで分かれば、僕にとって写真撮影はいつの間にか、趣味のようなものに昇華していた。

 今日は川の水面に止まる二羽の美麗な白鷺を撮った。

 彼らは最初、二人で並んで水面に立っていたが、何を想ったのかそのうちの一羽がふわりと飛び上がってしまう。その時の緻密かつ瑠璃色の形なき水しぶきと、そのまま留まって一羽が飛び立ったことにまだ気が付いていないもう一羽の表情が、何んともまあ風味がある気がした。

 パシャ。

 僕は絶好のシャッターチャンスを逃す事はない。

 一羽が飛び立ってそのことに気が付いていないもう一羽、そして飛び立ったことでしぶきをあげた水の形と、ふわりと誰かが居た形跡を残す波紋が、僕の胸が熱くした。



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