やっとの思いで街にやってきた。山ばかりだったこれまでの道とはお別れだ。
ただ街といって人の気配は相変わらずなく、音のない雪の落下と灯りのついていない建物が乱立する街のど真ん中を歩いた。
ただしここまで来てもまだ、電柱だけは電気を通しているらしく電灯から三角形が落ちている。白い息を吐きながら、僕らは音のない街を歩いていく。雪と光と無人街は、僕らを冷たく迎え入れる。