車内から撮影した太平ヨウは大きかった。
冬の風が段々と生ぬるいものになっていき、僕らは廃れた街を三つほど通り過ぎて山に入った。
「ねえねえ、浅井さんって元々なにしてたんスか?」
「俺?」
「はい!」
浅井はいつも西本に対してみせる反抗的な表情を崩し、少し考え込んだ。
「何でもないことだよ。何でもないこと」