ゴルさんからミミの修行開始年齢の遅さと、わずかな期間で一人前になる為に王都より別の街に派遣された話を聞いて、様々な思いが俺の頭の中を駆け巡っていたが、とりあえずアレフさんとゴルさんの立ち合いによる最終チェックが終わったので、みんなにも中に入ってもらう。
「みんな、もう最終チェックは終わったからみんなも中に入って見てみるか?」
「はい、是非見させていただきます」
「うん、見る見る」
「おお、俺も見て帰るか」
「じゃあ、私も見よっかな」
今日は完成予定日でもあったのでギベルトとメルも来てくれた。
さっきのゴルさんとの会話は当然みんなは聞いていないし、ミミが今どう考えているかも分からないから、話していいものかとも思っている。
「ビックリするほどシンプルね。もう少し何か例えば花とかを飾ったりしてもいいんじゃない?」
「花か、世話も大変だし、造花とかでもいいのか?」
「そうね、何か少しでも部屋に飾り気があると気持ちの面でもいいと思うわ」
確かに見て気付いたが少し殺風景だし、いきなりここに入院となった患者のメンタルケアという意味でも少しは飾り気も考えてもいいかもな。
「ありがとうメル、また何か探してみるよ」
「うん、それがいいと思うわ」
俺がメルと部屋についてのやり取りをしているとミミがついに休みについての話を切り出す。
「あの、ユーイチ様、確か診療所の定休日って3日後でしたよね?」
「確かにそうだな。まさかミミの休みの話か?」
「はい、急ですが明日から診療所の定休日までのお休みをいただいてもよろしいですか?」
「もちろんだ、これでやっとミミも存分に休めるな」
ようやくミミが安心して休める環境を整えられたことに俺は安堵の気持ちもあったが、やっぱりさっきのゴルさんの言葉が頭から離れないな。
13歳という、聖女見習いの修行を始めるのにはあまりにも遅い年齢にも関わらず、短期間でその才覚を露わにしたミミだが、それ以前はゴルさんでも知らないからな。ザリアンさんなら知っているかもしれないが、現状ではこちらからアポを取るのは難しい状況だ。
一応、個人のプライベートな事だし、『そんな事を聞くためにいちいち手を煩わせるな』とか言いかねないからな。
「じゃあミミ、診療所の事は心配しなくていいから、存分に魔法の修行をしてくれ」
「はい」
「だけど無理はし過ぎるなよ、俺達だけでなくミミを必要としている人はたくさんいるからな」
「ありがとうございます、3日の休みを終えたらまた診療所で頑張ります」
いつかは一人前の聖女にミミはなるだろうけど、まだ俺達やこの街にはミミが必要だとも思う。