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心配の気持ち

 診療所に仮設の療養部屋が併設された翌日にミミは休みに入った。


 初めてのミミ抜きでの診療所での診察は不安だが、準備は整ったしやるしかないな。


「おはよう、ユーイチ」

「おはようミーザ。今日はいつもより早いな」

「だってさ、今日はミミがいないし、少しでも早く準備を手伝おうと思ってさ」

「ありがとう助かるよ」


 ミーザも少し張り切っているが、あまり無理はし過ぎないようにして欲しいな。定休日も含めて3日だけだし、仮に大ケガの患者が来ても治す事はできるしな。3日間の入院を経ればミミが魔法で治療してくれるし、そこは心配していない。


 さあ、そろそろ午前の診療時刻だし、ミヤシタ・リハビリ・クリニックの開診だ。


 すぐには患者が来なかったが、時間が経つと徐々に患者さんが訪れてきて診察を開始する。


 今は比較的症状の軽い患者ばかりで俺とミーザだけでも対応はできている。


 そんな時患者の小さい女の子が俺に尋ねてきた。


「ねえ、今日は聖女見習いのおねえちゃん、どうしたの?病気なっちゃった?」

「ああ、聖女見習いのおねえちゃんは今日は大事な用事があるっていって休んでいるんだ」

「そうなの」


 俺の説明に加えてミーザもミミについてよりかみ砕いて小さい女の子に説明してくれた。


「あのね、あのおねえちゃんは今は見習いだけどいつかはちゃんとした聖女様を目指しているんだよ」

「うん」

「だからさ、そのお勉強がちゃんとできるように今日は傭兵のおねえちゃんとリハビリのおにいちゃんだけで頑張るって決めたの」

「そうなんだ、私応援する」


 女の子もミミを応援しているようだ。診察を進めている間に午前の診療時刻が終了を迎え、昼食休憩に入った。


 今日は俺が昼食を作り、ミーザと2人で昼食を食べているとミーザが俺に対して予定の確認をしてきた。


「今日ってユーイチは往診とかの予定ってないよね?」

「ああ、ないがどうしたんだ?」

「ちょっとお願いがあるんだけど、こっそりミミの魔法の修行を見に行ってもいいかな?」

「それは構わないが、まさかミーザ、ミミがさぼっていると思っているのか?」


 半分冗談ではあったが、ミーザは必死に否定して、俺に対していく理由を述べる。


「違うよ!どんな修行か気になって、それにミミの事が少し心配なんだよ!」

「お、落ち着けよ、悪かった。修行が気になるのはともかく、何が心配なんだ?」

「多分さ、こうやってまとまった修行時間を取るのは初めてだし、後れを取り戻そうとして無理しすぎないかなって思ってさ……」


 後れを取り戻す為に無理をしそうか……、それは俺も心配だな。

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