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反応のないミミ

 初めてミミのいない診療所での診察日を迎えた俺とミーザは大きなトラブルもなく午前の診療を無事に終える事ができた。


 昼食時間にミーザがミミが今までの後れを取り戻す為に無理をし過ぎないか心配になり様子を見に行きたいと訴える。


 それを聞いた俺も不安になった為、許可する事にした。


「分かった、じゃあ様子を見て来てくれるか、ただしミミの修行の邪魔にならないようにな」

「分かってるって、食べ終わったし行ってくるよ」


 そう言って、ミーザは診療所を出てミミの借家へと向かっていく。


 ミーザがミミの借家へ向かった事を確認すると俺は食べ終わった食器を洗って片付けて、午前の診断書を整理する為に診察室に入室する。


 しばらく診断書を整理していると足音が慌ただしく聞こえたので、思わず診察室の扉を開けるとそこにはミミの借家に行ったはずのミーザがいた。


「ゆ、ユーイチ、大変だよ!」

「どうしたんだミーザ⁉」

「ミミの借家に行ったんだけど、扉をノックしても反応がないんだよ!」

「なんだって⁉でももしかしたら他の場所で魔法の修行をしているんじゃないのか?」


 ミーザはミミの借家に行き、扉をノックしても反応がなかったので一旦診療所に戻ってきたのだ。俺は別の場所で修行している可能性も考えたが、やはりミーザは最初に自分が感じた事がぬぐえない事を話した。


「でももしかしたらやっぱり、無理して倒れたかもしれない。お願いユーイチ!何かあってからじゃ遅いよ!」


 確かにそうだ、急いでミミの様子を確かめなくてはいけないな。


「分かった、俺も行こう」

「うん」


 そう話して俺もミミの借家へと向かった。診療所からは近いからすぐに到着する。中に入る前に再確認をしないとな。


「とりあえずもう一度扉をノックしてみる。もしかしたら昼寝をしていただけかもしれないからな」

「うん、お願い」


 扉のノックをしてみるがやはり反応はない。もちろん修行を別の場所でしている可能性もあるが、ミミなら後れを取り戻す為に無理はしかねないというのは俺も思っているし、こうなったら仕方がない。


「ミーザ、どこか他に入れそうな場所はあるか?」

「そうだね、あの窓はどうかな」

「弁償は俺がするからあの窓を外すことはできるか?」

「うん、割らずに剣で斬るんだね、まかせて」


 ミーザはそういうと窓ガラスをきれいに剣で斬り、ずれたガラスを外す事に成功する。


「ユーイチ、ここから入れるよ」

「ああ」


 何もなくてミミから怒られるかもしれないがそれでも俺達はやっぱり心配なんだ。

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