目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報

発する光

 ミミが魔法の修行の為に休みに入った初日にミーザがミミの様子が気になり、ミミの借家まで行くが反応がないと言うのだ。さすがに俺もその話を聞き心配になり、ミーザと共にミミの借家に侵入する。


 普通に考えればこれって不法侵入だし、もし何もなければミミに何て言われるかもしれないな。まあ言い訳は後で考えればいいし、ミーザが斬ったガラスも俺が弁償するつもりだし、とにかく今はミミの安否を確認しないと。


「ねえ、ユーイチ、あたし初めてミミの借家に来たんだけど、そんなに広くないよね」

「確か、前に自分1人しか住めない借家と話していた事があったな」

「それじゃあ、寝室は1つって事だよね」

「ああ」


 寝室は1つ。そう考えると家にいるとすればミミが現在いる場所はおのずとそこに絞られるうえ、この小さな家だとそれはすぐに目がついた。


「ミーザ!もしかしてこの部屋なんじゃないのか?」

「そうだね、まずはあたしが様子を見てくる。もし調子が悪そうだったらユーイチを呼ぶから」

「ああ、頼むぞ」


 俺がそう言うとミーザはミミの寝室らしき部屋へと入室する。どうやら扉にカギはかかっていないようだ。


 ミーザの入室直後、部屋の中から声が聞こえる。これはミーザの声だ。


「ミミ、何だいたんだ。良かった。ん?ねえミミあたしの声聞こえる。ミーザだよ。え?全然反応がない……」


 ミーザがミミに呼びかけているようだが、この様子はミミの反応がないようだ。一体ミミに何があったんだ?


 そう考えているとミーザがミミの部屋から出てきて、俺に状況を説明する。


「大変だよユーイチ!」

「ミーザ、落ち着いて状況を説明してくれ」

「うん、あのね……ミミが座ったまんま寝ている!」

「え?座ったまま寝ている?」


 座ったまま寝ている?もしかして魔法の修行に夢中になって寝落ちしてしまっただけとか?だ、だけどもしかしたら魔力を使い果たして気を失っているかもしれない。もしそうなら一度診療所に連れていくか、場合によっては治癒士を呼ぶことも考えないと。


「ミーザ、俺も部屋に入ってミミの様子を診させてくれ」

「もちろんだよ」


 そう言って、俺もミミの部屋に入室し、ミーザが言う座ったまま寝ているミミを目の当たりにするが、俺はわずかながらにミミから光を感じた。


「なあ、ミーザ、ミミから何か光が見えないか?」

「え?あたし何も見えないけど」


 ミーザには見えていないのか。待てよそう言えば前に俺のスキルは魔力を消費するってスマホに書かれていたな。スキル獲得の影響かもしかしたら俺は魔力を少しは感じられるという事か?


 って事はミミは寝ても気を失ってもいないという事か?そう思ったのはミミ自身がこの光を自ら発している。俺にはそう感じたからだ。

この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?