ミミの部屋に入室して俺が見たのはミミが座ったまま、身体から光を発していた光景であった。ミーザにはこの光が見えていない事から多分魔力を発していると俺は推測をした。
俺自身のスキルも魔力を消費する事で発動する為、スキル獲得の過程で魔力をわずかながらだが感じる事ができるようになっていったんだろうな。
とりあえずこれではっきりしたのはミミは寝てもいなければ気を失っているわけでもないという事だ。
「ねえ、ユーイチ、あたしには見えないけどそのミミから発している光ってさ危なくないのかな?」
「ミーザ、きっとミミは自分の意志で魔力を発しているんだ。だから心配はいらないと思う」
「意識があるなら何であたし達の声には全然反応しないの?」
魔力を発する意識はある。だけど、俺達の声には反応しない。となるともしかしたら
「ミーザ、多分だけどミミは瞑想をしているんだと思う」
「瞑想?あの目を閉じて、ものすごく集中するやつ?」
「ああ、それも俺達の声が聞こえないという事はものすごく高いレベルで集中している」
眠るように瞑想する人がいるというのは聞いた事があるが、まさか俺達がこれほど間近でしゃべっても反応すらしないとはよほどだな。
そしてミミの修行法が瞑想だったとはな、聖女は神に使える身だし、瞑想で魔力が高まるんだろうな。
「でも良かった、ミミに何もなくて」
「そうだな、ミミの無事を確認したし、そろそろ診療所に戻ろう」
「うん、あ!でもミミの家の窓はどうしよっか?」
「あ、そっか!どうしよう……」
まずいな、思わずミミの家の窓をミーザに切らしてしまったし、このまま診療所に帰って、ミミが詰所に調査依頼をしたら俺達がこの部屋に不法侵入した事がばれて捕まっちゃうんじゃないか?
「ねえ、ユーイチ!ミミがあたし達に気付く前に窓を元通りにできないかな?」
「いや、さすがに無理だろ!今からじゃギベルトを呼ぶにしても時間がかかりすぎて、ミミの瞑想が終わっているかもしれないしな」
ギベルトなら元通りに直せるかもしれないが、呼びに行っている間にミミの瞑想が終わる話をしていると、ミミの息遣いが俺達に聞こえる。
「ふーーー、ん?ゆ、ユーイチ様!それにミーザさんも⁉お2人共どうして私の家に?いえ、それ以前にどうやって入ったんですか?」
「ああ……」
「いやあ……」
「扉には鍵がかかっていましたし、もしかして……」
この時ミミが窓に駆け寄り、俺がミーザに切ってもらった窓を見て、俺達に尋ねる。
「お2人共、これはどういう事かご説明願えますか?」
笑顔で尋ねるが、どう見ても目が笑っていない。怖えよーーー!