コーロ地方領主のバートン氏の屋敷でビルディス王国の王様とリハビリ等について話す為に俺は呼ばれて屋敷に赴くと、程なくしてビルディス国王、ダリアス陛下も屋敷に到着した。
お忍びの為か衣服はラフ、いや、それでも俺から見たら十分に高級だとは思うが、たたずまいから王族らしい気品を感じる。
俺が王様の発する空気に少しのまれていると、領主様が王様に声をかける。
「お久しゅうございます、陛下」
「久しぶりだな、バートン。この度は大儀であったな」
「めっそうもございません、陛下の御為ならば屋敷を会談の場に提供するのは当然でございます」
「ふむ、して、あの者がユーイチ・ミヤシタか?」
そう言って王様は俺に近づいて声をかける。
「貴殿がユーイチ・ミヤシタだな?余はこのビルディスの国王ダリアスである」
「お、お初、お目にか、かかります。私はユーイチ・ミヤシタと申し……ます、です」
「どうした言葉がおかしいぞ、少し落ち着かれよ」
俺の緊張を見抜き、中々言葉がまとまらない俺に対し、王様は落ち着くよう声をかけるが、さすがにその言葉だけでは落ち着かず、そんな状況で領主様が王様に声をかける。
「無理もございませぬ、ミヤシタ殿も陛下の威厳に緊張しているのでしょう」
「……むう、そうか。バートン、早速ではあるが会談の為の部屋への案内を頼む」
「到着されたばかりですし、少しお休みになってはいかがでしょうか?」
「いや、余は王としてこの者より話を聞かねばならぬ。そもそも余がこの者を呼び出したのだからな」
俺の緊張を理解しながらも、まずは話を聞く事を優先するのか、まあ俺としてもすぐに本題に行ってくれるのはありがたい。話さえ終われば少しはゆっくりできそうだしな。
そう考えている内にバンさんが王様と俺に声をかけ、部屋の案内をかってでた。
「それでは陛下、ミヤシタ様、お部屋に案内いたします」
「うむ」
「はい」
そして俺達はバンさんに部屋まで案内される。
部屋の前に到着するとバンさんが俺達に対して声をかける。
「こちらになります、御用があればお申し付けください」
「ご苦労であった」
「陛下、私は……」
「お前は外で待っていろ、この者が余に危害は加えんだろうし、万一のことあらばすぐに呼ぶ」
護衛の人は扉の前か、とにかく話すなら俺と2人でという事か。
こうして王様と俺は案内された部屋に入室し、早速王様の方から声をかける。
「まあ、座るがよい。と言っても余の城ではないがな」
「は、はあ」
「早速だがゴルより聞いた話で確認したい事がある。お前は異世界から転移してきたようだな?」
いきなりそこからか?俺が異世界人って事でどうするつもりなんだ?