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珍しい色

 全員が診療所に集まり、まずは今日みんなを呼んだ理由から話す事とした。


「みんな、急に集まってもらって申し訳ないが、入院施設の建設とは別に俺に来ていた話があったからそれを話そうと思う」

「うん、それはいいんだけどなんであの時に話さずに今話す事にしたのかな?」

「最初は入院施設の件がある程度目途がついてからこのお願いについて結論を出さないとと思っていたから、話すなら建設が進行してからと思っていたんだ」


 ミーザの質問に率直に答えた俺はいよいよをすることにした。


「実は王都の方ではいずれリハビリ士というのを養成しようと考えているようなんだ」

「リハビリ士?具体的にはどのような事をなさるのですか?」

「今までのように治癒士や聖女が治療はするが、それでも後遺症が残った際にリハビリを担当する新たな役職らしいんだ」

「そのリハビリ士の養成にまさかユーイチ様がお関りになるのですか?」


 ミミの質問に対して俺は王様と話した事は伏せつつ、実際に懇願されている事を話す。


「そこの講師にザリアンさんや引退した治癒士を考えていると聞いたし、俺にも非常勤講師をやって欲しいと言われた」

「ユーイチ様がリハビリ士を目指す方に教えるんですか⁉」

「まあ、まずは入院施設がもたらす効果を見てかららしいが、それが上手くいけば改めてその話がくると思う」

「それで、ユーイチ様はその話お受けするおつもりなんですか?」


 当然そう聞かれるとは思っていた、だが俺は今自分が素直に思う事を話す。


「実の事を言うと迷っているんだ」

「迷っている、ですか?」

「ああ、確かにこの世界にはリハビリは根付いていないし、それがある前提の世界で育った俺が教えるというのはある意味手っ取り早いって思ったんだろう」

「この世界?ある前提の世界?ユーイチ君、さっきから何を言っているの?」


 俺の発言にメルが疑問をぶつけてきて、俺はすっかり馴染んでいたから言い忘れていた事に気付いて、自分の事を話す事にした。


「そういえばメルには言っていなかったな。俺はこの世界とは別の世界から転移してきたんだ」

「転移?別の世界から⁉うーーん、目の色も髪の色も黒で珍しいとは思っていたけど、まさか異世界からだなんて」

「そうなんだ。俺の世界には魔法やスキルの類が発展しなかったがそれとは別の技術が発達している」

「リハビリもそうなの?」


 やっぱりメルも俺の目の色や髪の色が珍しいと思っていたのか?ちょうどメルにも出自を明かせてよかった。

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