随分俺達に馴染んでいたからすっかり忘れていたがメルにも俺が異世界の転移者だという事を話し、今この診療所にいる人間は全員俺が異世界からの転移者だと認識した。
ただメルは俺が異世界人という事を知ってさらに質問をしてきた。
「ユーイチ君の元いた世界じゃきっとリハビリや料理の事も私達が知らない事もあって、それをユーイチ君が知っていたのは分かるけど、でもユーイチ君のそのスキルも元の世界で身につけたものなの?」
「いや、これはこの世界に転移してからしかも突如会得したものなんだ」
「そうなの?」
「さらに言えば料理のレシピ機能も転移してからこのスマホに追加されたものなんだ」
メルにとりあえずスキルとスマホの説明をしているとメルは驚きを隠せないでいたがとりあえずは納得した事を言ってくれる。
「そうなんだ、まだ理解が追い付かない事もあるけど、とりあえずは今までのユーイチ君を見ていると納得はできるわ」
「それじゃあ話を非常勤講師に戻すが、今も迷っているという話まではしたな」
「うん、でもユーイチ君から見るとこの世界ではリハビリが根付いていないのよね教えてあげればいいとは私は思うんだけど」
「この間メルが王都で診療所を開くかどうか俺に聞いていただろう、多分学校を造るとしたら王都にだろうし、実質的にはメルの言うように王都に移る事になるだろう」
王都に移るという話を自分からして更に俺はあの時から自分の考えていた事を伝えた。
「この話を聞いたときはいくら知識があるとはいえ、長く治癒に携わってきたザリアンさんや高名な治癒士の人みたいに教える資格があるのかと考えたし、今みんなとこうやって診療所をやっているのが当たり前になりすぎて不安にもなっていた」
「そうだったのですか……、ユーイチ様も私と同じように……」
「だけど、みんなは俺に協力をしながらもしっかりとこの先どうするかを考えている事が分かって、俺も今は迷っているがどんな形であれリハビリをもっと根付かせたいとは思っている」
「まあ、俺達もお前がいたから自分のやりたい事をできるようになったからな」
ギベルトが俺がいたから自分のやりたい事をできるようになったと告げるとミーザも続けて言葉を発する。
「そうだよ、仕事だけじゃなくておっ母と一緒に住める所まで紹介してくれたし」
「ユーイチ君がこの街にいる間はできる限りユーイチ君のしたい事に協力していくからね」
まだみんなの協力が必要だが、俺の目標には少しづつ近づいている。