入院施設の建設が決定した際にギベルトには入院中の器具作り、メルには入院中の食事のサンプルメニューを、そしてミーザには入院施設の警備をそれぞれお願いした。
その際にミーザから診療所をどうするかを尋ねられるが、俺はもし入院施設が完成した際に考えていた事を話す。
「この診療所は閉めて、ここは完全に俺の住居、家にしようと思っている」
「待ってよ、それじゃあケガとかした人はどうすんのさ?」
「最後まで聞けよ、その入院施設の中に診察室を作って、俺はこの家からそこに通う形をとろうと思っている」
「そうなの、てっきり診療所を辞めると思ったよ」
ミーザが少し混乱しているようだからしっかりと順序立てて説明をしないとな。
「入院施設の中に診察室があると、そこで診察した結果入院が必要となったらすぐに入院の措置や手続きができるし、スムーズに進むんだよ」
「そっか、診察と入院の手続きが一緒にできるんだね」
「そういう事だ、それに俺自身も入院患者の様子を診る事ができるしな」
「なんかいい事づくしだね」
ミーザからは一見いい事尽くしという感じの言葉が出るが今度はギベルトから別の疑問が浮かんだ。
「ちょっと待て、お前はここからその入院施設に通うつもりなんだろ、お前がいない間は誰が患者を見るんだ。まさか全部ミーザに任せっきりじゃないよな?」
「人手についても少し心当たりがあるしあたってはみるつもりだ、簡単な治療ができて警備もできる人をな」
「まあ、それなら大丈夫だよな」
ギベルトに続いて、メルからも質問が来た。
「じゃあ料理人にも心当たりがあるの?」
「それは手配してくれるらしいし、心配はしていない」
「そう、一度その人達とも会わせてね、細かい話もやっぱりしたいし」
「分かった」
メルの要望にも了承し、最後にミミが自分の役割について尋ねてきた。
「あのユーイチ様、私はやっぱり今まで通り治療ですか?」
「……ミミ、そういえば見習い期間ってあとどれくらい残っている?」
「え?確かこの街に来てから半年たっていますし、基本的には2年間なのであと1年半になりますけど、もちろんその間は精一杯お手伝いします」
やっぱりミミはそう言うか、でももう……。
「用地探しが1年半以上かかりそうならそれでもいいとは思うが、もし早めに入院施設が完成したらミミ、ミミには残りの期間は見習いの活動に専念して欲しい」
「え?見習いの活動に専念……」
王様からミミの話を聞いてからずっと考えていた事を俺はついにミミへと告げた。