入院施設の建設ができたらミミには残りの見習い期間を聖女の活動に専念して欲しいと告げ、ミミは一瞬戸惑ったが、俺が理由を話すとミミは俺に、俺達に自分の思いを話し始める為に口を開いた。
「ユーイチ様、私は、もしかしたら色々怖がっていただけかもしれません」
「怖がっていた?」
「はい、ちょっと皆さんも私の話を聞いていただいてもよろしいですか?」
ミミがそう言うと、全員がミミの方向を向き、その動きを見るとミミは話し始めた。
「あまり詳しい事は話せませんが、昔私はとても悲しい出来事があり、それがきっかけで聖女を目指しました」
「え?」
「何だって⁉」
「ミミちゃんに悲しい出来事……」
「……」
内容は話していないが自らに悲しい過去があった事をみんなに打ち明ける事にしたのか。
「その出来事からいろいろあって、私はマカマカ教団に入団し、早く一人前の聖女になりたいと思い修行してこの街に来ました」
ミミは詳しい内容こそ話さないが、少しづつ自分の過去を話そうとしている。ミミも詳しい事を話すと一気に悲しみが押し寄せるのか、言葉を選んで慎重に話しているように見えるな。
「そしてこの街に来てユーイチ様をきっかけに皆さんと出会って、大変だけどとても楽しい日々を送れるようになって嬉しい反面、見習い期間を終えるとまた寂しさがどっと押し寄せるんじゃないかという不安がありました」
「ミミ……」
「だけど私がユーイチ様がリハビリの事をいろいろできるようになればと思っているように、ユーイチ様が私にちゃんと聖女として歩んで欲しいと思いが強く伝わって来たので……」
ミミは少し溜めながら俺の提案に対する返答をする。
「入院施設が完成したら私はしっかりと聖女見習いの活動、そして修行に取り組みます!」
「いいのミミちゃん?それをするって事はもうユーイチ君のお手伝いはできないんだよ」
「はい、ですがユーイチ様が私の為に言ってくださっているので、それにこの決意ができたのは皆さんのおかげでもあるんです」
「私達のおかげ?」
みんなのおかげだと言うミミであったが、その理由をしっかりとメルやミーザ、ギベルトにも話す。
「皆さんが少なくともこの街にいる間はユーイチ様を助けてくれるのでそれに安心したのと、日ごろから皆さんの姿に心を打たれていたのもあります」
「そうなの?」
「皆さんもお辛い思いをしていたのに、とても前向きに生きていらっしゃるのを見続けて、私も悲しい出来事を乗り越えていかなくてはと思っていましたし、その後押しになったと思ったから決意できたんです」
今までの積み重ね、それがミミに少しづつだが過去を越える力を与えていたんだな。