私は
何故、私がこんな事をしているのかって?軍大将たる者。先ず、敵軍に勝利をする条件。
それは敵を知る事、地形を知る事、人を知る事、そして歴史を知る事。
そんな私の前世はかつて乙女ゲームをこよなくやり来るヲタ女子だった事を転生した今でも忘れてはいけない。
さて、先ず最初に転生体となった彼女の事から知ろう。
セリスティア・K・クラリスロード。
鍛冶師の家系貴族であるクラリスロード家の1人娘にして、前世の私が最後に推しはまっていた乙女ゲーム『CRYSTAL《クリスタル》 SYMPHONIA《シンフォニア》』に出て来る登場人物の1人にして、各攻略キャラ進行途中の前に立ち塞がる主人公の
傍若無人で我儘な性格、まるで自分が世界の中心に立っている女王様気取りで卑劣非道。そう、私が転生したのは『悪役令嬢』だ。
次にこの『CRYSTAL《クリスタル》 SYMPHONIA《シンフォニア》』と言う乙女ゲームの世界は簡単に説明すると。
前世の地球の時代で言う中世ヨーロッパを基本ベースとした剣と魔法にありふれたファンタジーにダンジョンRPGを組み合わせた乙女ゲームでもある。
物語の舞台となるのは主人公と攻略キャラ達が通う『エンディミオン魔法学校』。
物語の主人公の名前はアリサ・ホワイト。
平民の出で有りながら、世にも珍しい『光属性魔法』を使い、特待生扱いとして魔法学校に入学する。其処でアリサは4人の攻略キャラと出会い、恋を育み、互いに愛し、そして互いに結ばれ、ハッピーエンドを迎えるのがこのゲームをクリアする条件だ。
先ず最初の攻略キャラはノービス・G・ルークディオス。
セリスティアの幼馴染にして次期婚約者候補である貴族令息。強気で力自慢ながら槍の名人で地属性魔法を使う、但し、幽霊やオカルトと言った類の物は苦手。
次にアトラス・A・アクエリア。
商業貴族アクエリア家の公爵令息。父親は平民出身ながら商業技術の金の力で貴族へと成り上がった経歴ながら父親譲りの交渉術と計算術を持つ。攻略キャラの中でもムードメーカー。戦闘では脚が速く逃げ足自慢の二刀の短剣使い。また。水属性魔法は使えないが自身の魔力を武器に纏わせ強化する事が出来る
次にフレイジェル・F・フレイローズ。
学生ながら王国騎士団団長補佐にして学園では1つ上の先輩に当たる。炎の様に心熱い性格ながらか、時に主人公達をスパルタめいた指導を行ったりする。戦闘では主人公達を守る盾の役目を持つ
実を言うとこう言った暑苦しい性格の人間は正直、私は苦手だ。出来れば学園では挨拶以外あんまり関わら無い様にしよう。
あ、言い忘れていたけれど同じ学年であるアトラスとは昔ながらの犬猿の仲だそう。何せ水と炎の相性は悪いからね。
そして最後の1人、クール系ながら唯一の眼鏡男子であるクロノ・S・シルフィード。彼だけは攻略キャラの中でも唯一の最年長。
宰相の息子ながら、エンディミオン魔法学園の主人公達のクラスの担当教諭にして魔術学のエキスパート。
一見からして教師と生徒との禁断の恋は御法度だけれど、私の様なヲタ女子からしたら寧ろ逆に大歓迎!!
戦闘では風魔法をルーツとした魔法弓術の達人。また。4人の攻略キャラの中でも心優しい常識人でもある。
以上が、この4人の攻略対象キャラの基本的な情報だ。
次にこの世界に生きる人間の魔力質量は多ければ多い程にこの王国の貴族階級として生まれ落ちる事が出来る。
しかし、時に平民の中にも珍しくも魔力を持つ者が生まれ落ちるがこれは滅多に無く、大変な事だからだ。
そして今年が13か16になる魔力を持つ子供達は魔力をきちんと扱える様にする為に学園へと入学が許される。
この世界の魔法属性は基本系統である『地』『水』『炎』『風』の4つと更に希少種にして上級系統である『光』と『闇』。後1つだけ『無』属性が存在する。
特に光と闇の2つの属性は5種属性の中でも強く、それを扱える者は本の一握り程度しか存在しない。
因みに、この私、セリスティア・K・クラリスロードは炎属性の魔法が扱えて剣術も得意。何しろ鍛冶師の一族だから武器の扱いは得意だと攻略本の登場人物紹介に記されていたからね。
さて、先ず、ゲームでの私の立場は各攻略対象の√にて必ずやアリサの宿敵として立ち塞がる。
そして、ゲームでの彼女がどの様な結末になるかと言うと。
ある√では犯罪者として貴族としての身分を剥奪されそのまま国外追放。またある√では攻略対象に斬られ命を落とす結末を迎えられる始末。
他にも、公開処刑、修道女になるとか他多数。
セリスティア「………。」
パタリと、読み終えた本を静かに閉じると私は天井を見上げながら、結末を言おう。
セリスティア「………無理じゃん、何処の√に入ったとしてもどの道私死ぬじゃん!!」
つまり、私の命は残り9〜11年辺りと言う事になる。どうしようかと考える最中、私はある事を行う。不味い、全部破滅√じゃない。
セリスティア「………
私の目の前に空中からパッ、とTVゲームに出て来そうなプレートが瞬時に出現する。これが私の
因みに、私の総合値情報はこうなっている。
基本情報
名前:セリスティア・K・クラリスロード
性別:女
年齢:7
属性:炎
職業:貴族令嬢
*
総合値
Lv:1
HP:100/100
MP:25/25
攻撃力:6
魔法力:1
器用力:1
防御力:4
機動力:8
*
『炎耐性{弱}1』『炎魔法{下}1』『読書3』。
先ずは基本情報は自分の名前や年齢、性別、職業そした産まれながらの属性と言った基本な情報が記されている。
次に
其々の数値の説明の事は取り敢えず、別の機会にしておくとして。まあ、数字が高ければ高い程に良いと言う意味でもある。
最後に
例えば私の所有している『読書3』の技術。私が本を読み始めた瞬間に会得されたらしい。どうやら私が本を読めば読む程に熟練度が満に到達すると数字が1つ増えるそう。
それ以外の『炎耐性{弱}1』『炎魔法{下}1』の技術はお父様とお母様から話を聞いて見た処、何でも産まれながらに得られた物だそう。
セリスティア「………う〜ん。つまり、私が料理をすれば料理系の技術が、釣りをすれば釣り系の技術が会得されるって訳よね。」
もしかしたら技術の会得は私の破滅√を回避出来る武器になるかもしれない。取り敢えず忘れずに日記帳に記しておこう。さて、そろそろレイラが紅茶とお茶菓子を持って来る時間帯ね。
レイラの声『困ります!突然の訪問は兎も角。現在いまお嬢様は勉学に集中している身でして!客間にお戻り下さいませ!』
少女の声『うっさいわね!愛する妹分が寝込んで意識戻ったって聞いて心配しないお姉ちゃんが居る訳が無いでしょう!!』
少年の声『ま、待って下さいよ!姉上!』
室外からズンズンと大きな足音がこの書物室へと近付いて来る!な、何だろう?さっきからレイラが必死に引き止めようとしている声が聞こえているけれど嫌な予感しかしない。
そう思っていると書物室の両扉が一気に開き、橙色のドレスを着込んだ元気一杯な茶髪の少女ともう1人、今の私と同い年くらいの男の子が入って来ると。
少女「やっと見つけたわよ!セリスティア!」
セリスティア「………え、えっと、取り敢えず一言だけ。誰?」
突然、私の前に現れたこの少年と少女。突然の来訪者を見て私は唖然を隠さずにいたのであった。