12話 元アサシン、思いと決意と、
〈コンコンコン〉
「バート~、美空、出掛けてくるからねぇ。お昼を食べてねー」
「はっ、はいよー。行ってらっしゃーい。ふぅ~~ん」
大きく伸びをして、時計を見ると14時を過ぎたところだった。
★★★★
リビングには、おにぎりが置いてあり、商店街に買い物と銀行に行くと美空のメモがテーブルに置かれていた。
俺が寝ている時に、美空は明日のイモを準備してくれていたようだ。
「ありがとうな。美空」
おにぎりを食べながら、俺も明日の準備をしていた。
乾いた石を二段の焼き台に敷き、美空が用意をしてくれていたイモを積んだ。
「あれ、
「ただいま~美空~。アレ、美空は? バート」
「お帰り、
「そうか、ただいま。バート」
お土産をリビングに置き、荷物を持って二階に上がり、
「
「ああ、キッチリと済ませたよ。痛みも感じないぐらいにな」
親指を立てて首のところを横に引いた。
この2日間にあった出来事や、自分のことを
「そんなこと、まぁ~バートが今、ここに居るから信じてはいるが
ダッシュで自室に戻って攻略本を手に取り、リビングに戻り
「読んでくれ、
2冊の攻略本を読み終えると、俺にニコリと微笑んだ。
「なぁバート、これが本当のことなら、お前はどうしたい? 何が心配だ? 俺達家族に出来ることはなんだ?」
この時、俺は
だからなのかも知れない……思っていたことや考えていたことを、無意識に話し出してしまっていた。
「俺が、突然消えてしまったことで
「このゲームは続きが出るぐらいの人気作品らしいんだ。もし続きが出ることになり俺の話が作られたら、バート服部は、
「俺は、そのことが、今はとても怖いんだ……
あ~、これが、このことが、攻略本を読み、イベントで自分のことを知ってから感じている俺の本当の感情だったんだな。
俺の思いを聞いた
「バート、先のことはまだ分からんだろ? なら後悔をしないように毎日を懸命に生きろ! バート服部は、
「俺達は家族になったんだろ? 家族は何があっても変わらないよ。心配するな! 2度と会えなくなってもサヨナラは言わないよ。バート、またな!だ」
俺は熱い思いが止められず、涙を流しながら〈うん、うん〉と頷いて聞いていた。
出されたティッシュを取り、出されたグーに俺も手をグーにして、タッチした。
このことは、美空には伝えないように
★★★★
〈ウ~ウ~、ウ~ウ~、道を開けて下さい。緊急車両が通ります〉
〈ウ~ウ~、ウ~ウ~、道を開けて下さい。緊急車両が通ります〉
〈ウ~ウ~、ウ~ウ~〉〈ウ~ウ~、ウ~ウ~〉
(ウルサイな~。宣伝放送も、これぐらいの音量でさせてくれよ……全く)
二階に戻った俺は、
俺は元アサシンだ、
だが俺は、この世界の人間ではないことが、ほぼ判明している。
この世界の人間ではない俺が、この世界の人間に、
〈ウ~ウ~、ウ~ウ~、緊急です、緊急です。道を開けて下さい〉
「なんだよ今日は、何台の車がこの音を鳴らしているんだ?」
呪文、
「1つ、2つ、3つ、4つ」
オイオイ、
★★★★
素早く窓から屋根に上がり、屋根づたいに、この辺りでは1番高い桜湯と言う銭湯の屋上に上がり、音の集まる方向を探った。
「この方向は牛丼屋さんの方向だな」
俺の近々の目標は、初めて貰う給金で牛丼屋さんに行き、
(牛丼屋さん、大丈夫かな?)
素早く自室に戻り、リビングに向かった。
★★★★
「
「ああ、銀行強盗みたいだ。いま臨時ニュースと中継が入っているよ」
テレビには、牛丼屋さんの前にある銀行の周りに、赤い光を回した車がたくさん止まっているのが映されていた。
(あれ、銀行?)
俺のアサシンとしての
素早く、台所と車庫の確認をした。
「
「まだ、帰って来てないぞ」
(なんだ、なんだ、この変な感覚は……)
あれから1時間が過ぎても美空が帰って来ない。
俺のイヤな予感は、どんどん強くなっていた。
〈バァーーン〉
テレビから何かの破裂音がして、一瞬だったが縦開きのブラインドカーテンが動いた時に、目隠しをされている美空が見えてしまった。
「
「なんだと! 本当かバート」
だが俺は、急いで
「駄目だ。
「なら美空はどうするんだ! 美空が、美空が……」
「俺が行くよ、
「ならバートに今回の
俺は首を左右に振り、
「
「バート、娘を、美空と人質の救出を頼む。空にヘリコプターと言う飛行している機械も飛んでいるから気を付けてな!」
「ああ、了解した。
急いで二階に上がろうとした時だ。
「バート、部屋に来い」
2人で
★★★★
「お前が
「有り難う、
急いで新たな暗殺服と言うアサシンスーツを着用して、薄暗くなり始めた銀行へ、美空と人質の救出へと向かった。