28話 ルノーン界。
どれくらいの時間が経ったのだろう。
意識が戻ると、腹の上には焼きイモ屋ゲンちゃんで販売しているイモと
周囲は静まり返り、まるで時間が止まったかのような感覚が、俺にはしている。
急いで辺りを見回すと、そこは見慣れた
心臓が高鳴り、
★★★★
荷物を持って、急いで家に帰宅した。
自分の部屋に入って、荷物を置いた瞬間、
アサシンスーツは理解できるが、封筒に書かれた文字が全く読めないことに気付いた。
イモの箱に書かれている文字も全く読めなくなっている。
変な汗が出て、
急いで封筒を開けたが、何が書かれているのかが分からなかった。
ただ、美空の匂いだけが封筒と紙から香っていた。
頭の中で言葉が
「なんでなんだ……どうしてなんだ……なぜ読めないんだよ……」
俺は
完全攻略本の記憶だけは、かすかに残っている。
(あの説明の1つだけを、絶対に忘れなければいいと思っていたからだ)
この後、
タクマ
だがもう俺は、理由を知っているので怒りはなかった。
(あれ? 完全攻略本には、俺がここに居ることが書いてあったっけ?)
不安で胸のザワザワと、変な汗が止まらない。
どう説明すればいいのか、頭の中で考えを
★★★★
その時、面影はあるが大人になっているタクマ
「バート! バートじゃないか」
タクマ
「無事だったか? どこに行っていたんだ?」
「うん。なんとか戻ってこられたんだ」
理由はなんとなく分かっていた。
(
(ルノーン界はゲームの世界で、俺達はゲームのキャラクターなんて言える訳がない……)
なので、俺はその答えだけは言えなかった。
タクマ
「本当に良かった、大変な思いをさせてしまったな。本当に済まない」
首を横に振り、俺はタクマ
「色々な経験が出来たよ、タクマ
タクマ
「ところで、バート。その箱とスーツはなんだ?」
「これかい? ……これは、特殊な製法で作られたアサシンスーツだ」
一瞬ためらったが、タクマ
「そして、この箱が焼きイモ用のイモだ」
タクマ
「焼きイモ用のイモ? それはこの世界にはない物だよな。どこで手に入れたんだ?」
「実は、別の世界に居たんだ。そこで、いろんなことがあった」
俺はタクマ
信じられない話をしているとタクマ
「お前、本当にそんなことがあったのか? 毒の効果で幻覚でも見ていたんじゃないのか?」
タクマ
「信じてくれ。現代の日本で様々な経験をしてきたんだ。新たな家族が出来て、その家族と暮らしていたんだ」
タクマ
その時、部屋の扉が開いて
「バート、戻ってきたのか。無事で良かった」
「はい、
頭が地面に付く、フル
「お前がどれだけ大変な思いをしたのか、話を聞かせてくれ」
少し
「実は、異世界である現代の日本と言う世界で多くの体験をしました。そこで家族や現代の人達を守るために、様々な選択をしてきました」
タクマ
「その選択とは、具体的にどのようなものだったのか、教えてくれ」
俺は異世界である現代日本での出来事を、出来る限り詳しく伝えた。
新たな家族との出会いや、向こうの世界での生活、この世界とは全く違う文化、そして、異世界人であることでの困難について語った。
「最後に、悪党も多く事件も絶え間なくある世界だったが、その中でも、日常の中にある小さな幸せを発見し、それを知り、学び、その小さな幸せを心から喜べるように、みんなが頑張って生きている世界なんだ。と」
救われた現代日本の
心の中にあった重荷が少しずつ軽くなっていくのを感じる。
「なるほど、お前がそのような経験をして来たとは」
「お前の成長を感じる。だが、まだ道は険しい! これからも仲間達と共に進む必要がある」
タクマ
「お前が戻ってきたからには、
「ありがとう、
感謝の気持ちを込めて俺は答えた。
「それが大事だ。仲間の
俺の肩を軽く叩いて、
その言葉が、俺の心に新たな決意を芽生えさせる。
その様子を見ていたタクマ
「まずは、イグニス国王に私達の行動を報告しなければならない」
「
その言葉に、俺と
これからの計画を練り始める中で、7年ぶりに3人が揃った
これから始まる最終決戦のために、この世界の仲間達と共に、ルノーン界の未来を切り拓いていくんだと、強く思った。
(美空から教えてもらった、